2010年3月28日日曜日

道は開ける

D. カーネギー著

誰もが知っている「人を動かす」の著者、カーネギーさんが悩みの解決方法について書いた本。この本を執筆するにあたり、悩みについて書いた本、古今の偉人の伝記数百冊を読んだそう。やはりすごい人というのは何事も徹底的にやる。
内容は悩みを解決するためのありとあらゆる手段、考え方、悩みを克服した人々の経験談が書かれている。
時代や場所が異なれども、人の悩みというのはあまり変わりないものだと思い知らされる。

本書は八章に分かれている。

1. 悩みに関する基本事項
2. 悩みを分析する基礎技術
3. 悩みの習慣を早期に断とう
4. 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
5. 悩みを完全に克服する方法
6. 批判を気にしない方法
7. 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
8. 私はいかにして悩みを克服したか(実話31編)

この中で2の悩みの分析と解消法というのが今の自分には不足していて、今後役に立ちそうだと思う。
色々な悩みに対して問題を、事実の把握、事実の分析、決断および実行の三段階に分けて分析する。この事実の把握というのが意外にやっかいだと思う。私が私の問題を見つめる時、それは主観的な目であり客観的な目ではないから。しかしながら事実を分からなければ、問題を解決することは不可能である。

4.には「レモンを手に入れたらレモネードをつくれ」という章がある。レモンには不快なものという意味があるらしい。
つまり不運を自分の力によって好転させるということ。いいなと思う言葉がいくつも出てくる。
「真に重要なことは損失から利益を生み出すことだ」
「マイナスをプラスに変えるために1日16時間の勉強をしなかったら、何一つ実現しなかっただろう」(小学校しか出ていないが、4回もニューヨーク州知事に選ばれたアル・スミスの言葉)
「もしチャイコフスキーが不安にかられず、悲劇的な結婚によって自殺寸前にまで追いつめられなかったら、不朽の名曲『悲愴交響曲』は生まれなかったであろう」

そしてこれ、素晴らしいと思う。

「私たちが失望落胆して、もはやレモンをレモネードに変える気力も失せたとしても、とにかく二つの理由のために私たちは現状打破を試みなければならない。つまり、どちらからいっても、すべてが得で、失うものは何もないからである。
第一の理由 - 成功するかもしれない。
第二の理由 -  たとえ成功しなくても、マイナスをプラスに変えようとするだけで、うしろをふり返らずに前方を見つめることになる。」

成功するかもしれない。

いい言葉。

2010年3月26日金曜日

大腸菌

カール・ジンマー著

目の前がぱっと開ける感覚がある。

私の人生では13歳の頃、学校からの帰り道に「自分が考えている」ことに気づいた瞬間、ゴダールの「勝手にしやがれ」を観た時、フェリーニの「甘い生活」を観た時、ウォンカーウァイの色気ある香港を知った時、三島由紀夫の「金閣寺」を読んだ時にその感覚がやってきた。こういうのって個人的なパラダイムシフトとでも言えるのだろうか?シャガールがパリに行って色を知ったように、がつんと殴られたような感じの後に頭の中がバチカン美術館の壁のように鮮やかに彩られる。残念ながら「それ」はあまり頻繁には起こらない。あんなに鮮やかだった壁も時を経て、白黒に近いほど色褪せる。

一番最近起こった「それ」は「DNA」を読んだ時だった。
そしてこの本がまた「それ」をもたらしてくれた。

と興奮しているわりには内容がわからないのである。生物に関する基礎知識がないから全てをきちんと理解はできないのが残念でたまらないので、「好きになる生物学」をもう一度読むことにした。細胞の仕組みから学び直しである。その後に何度か読み返すことになりそうだ。
恒温動物の発生により快適な住まいを得たE・コリ(大腸菌)、鞭毛も必要に応じて作り出したり、くるくるそれを回して食べ物を探すために回転の向きを変え、コロッと方向転換するE・コリ、研究室で育てやすく遺伝子研究、生物進化の分野で重要な役割を果たしているE・コリ、長い時間をかけてセックス(遺伝子の交換?)をするE・コリ。著者のE・コリに対する敬愛が行間よりこぼれ落ちる文章でほのぼのする。

抗菌抗菌と一生懸命な時代だけれど、人間は菌と一緒に生きてきたどころか、細菌は私達の源であることを学べてとても幸せになった。一番衝撃を受けたのはどうもウィルスによって種が分化したらしいことだ。そんなこと専門に勉強した人にとっては当たり前の説なんだろうけれども、私にとっては人間が初めて飛行機で空を飛べたことくらい驚きである。

これまで勉強しなかったことをずっと後悔してきたが、多くの発見と感動が残されていると思うと、高校の頃からろくに勉強もせず飲み歩いていてよかったと思う。

まず一分間にうまくまとめる 話し方超整理法

福田健監修 山本昭生著

自分にとってこの本が役に立つか実のところあまり期待をしていなかったが、やっぱり役立った。選んで正解だった。
昔から人に物事を伝えるのが苦手だった。一対一で相手の話を聞きながら、相手が心地よいように話を進めるのは上手い方だと思う。確実に聴き上手だと思う。ただ、人に何か伝えようとすると、突然話し出すし、簡潔に伝えようと思うと情報が抜け、細かく伝えようとすると全部言いたくなって迷ってしまう癖がある。伝える能力が未発達のままこんな年になってしまったらしい。

という私には必要な本だ。

まずは1分間に話を上手くまとめるための言いたいことの組み立て方、それを発展させ3分間で話すと。

そういえば、過去に読んだ「3分間で成功を勝ちとる方法」の基本となる時間も3分だ。カップラーメンが出来上がるのも3分。ウルトラマンが地球にいられる時間も3分だけれど、3分とは長すぎてだらけることもなく、短すぎて物足りないこともなく、ほどよい期待を含んだ正に「塩梅がいい」感じなんだろうか?(カップラーメンに関してはお国柄に応じて、時間を変えてあるとどこかで読んだな...)

ところで、「トヨタ最強の経営」に影響を受けて会社内で「気楽にまじめな話をする場」を設けている。3ヶ月に一度くらいの割合でお昼休みに集まって何をしているかというとプレゼンテーションの練習をしている。テーマは仕事に関することなら何でもいい。
ちょうど先日、自分がプレゼンテーションをする番になった。改めて、研修に使ったテキストを引っ張り出して読んでみた。そこに書いてある構成が正にこの本に出てくる「四部構成法」だった。

結論→本論→序論→結論で伝えたいことを組み立てる。

今回、プレゼンテーションをしてみて感じたのだが、結論→本論→序論までは結構誰でも自然にできるかもしれない。
意外な盲点なのが、最後に結論を繰り返すところである。質疑応答などに移ってしまっておろそかになったり、既に話したことなので考慮をしていないことが結構ありそうだ。結論で伝えたいことを再度強調する、この効果は結構なもので、ないがしろにできないと思う。

普段の会話から意識しようと思っても、なかなか難しい。ただ意識して準備に臨んだプレゼンテーションは悪くない出来栄えだった。

ここには準備の大切さについてもとくと書かれていて、人前で話すのが苦手な人ほど十分過ぎるほど準備しろと。全くそう思う。ものごとは段取り、構成を決める準備が命である。

2010年3月21日日曜日

色で美人に生まれ変わる!

今井志保子著

手のひら、腕、髪、目などの色から診断して、人の持っている色味をまず2パターンに分ける。そこから顔つき等で4パターンに。
それぞれのパターンに似合う色が一覧になって載せられている。それを基本に洋服、靴、鞄等の色の合わせ方、化粧の色と服の色の合わせ方、アクセサリーについて、また自分が仕事、恋愛、普段の生活で、なりたいイメージを表現する色使いがきれいなイラストとともに書いてある。

あまり色の組み合わせを意識せず、感覚に任せて服を選んでいたので、意識をすると良くなりそうだ。しかも自分に似合う色は思いがけない色だった。うーん。

シルバーやゴールドよりもピンクゴールドが一番好きなので、ピンクゴールドが自分に似合うと知ったのは嬉しい発見だったが、どうも日本の昔からあるような淡い色味が似合うとされている、本当だろうか。試してみる価値はあるね。

絶対!ノーファンデ主義

潤子ララビュール著

ノーファンデ主義とはファンデーションを使わない主義らしい。この本を読んだ後にネットで調べたが、他にも例えば銀座ホステスだった現在本も出版している蝶々さんもファンデーションを使わないらしい。
ノーファンデ = ノーメイク ではなくて肌を美しく保つために負担の大きいファンデーションをつけないということらしい。
確かに私の母も、祖母もメークはしないけれど、肌はきれいな方だと思う。特に祖母は90を過ぎているというのに老人特有の大きなシミなどほとんどない。深い皺はさすがに口元にはあるけれど、ほほなんてつやつやで潤っている。

著者は現役のフライトアテンダントでもあり、当時の先輩から教わり25歳からずっとファンデーションをつけない主義らしい。ただ、日焼け止めとメークアップベースの両機能を持つものを使用されているようなので、ベースによっては結構塗っていることになるのではと思うけれど、この辺り、肌に取って何が一番いいのかまだ私には分からない。先日読んだ大人のスキンケアには日焼け止め、特にウォータープルーフは肌に対する負担が大きいので外出時間が2時間以内なら、日焼け止めなしでルースパウダーかファンデーションのみにし、日傘等で肌を守ることが勧められている。
ということは肌への負担ができるだけ軽い日焼け止めを使用するのがいいのかな?

今日早速試してみた。パウダーを一部のみに使い、ポイントメークはきちんとしてみた。まぁ、出社できないほどひどい肌ではない(と信じたい)。ちょっと人に近くに来てほしくないのと、直射日光下では見られたくないけど。そうこうするうちに肌が改善するだろうから、パウダーは使うとして、ファンデーションなしを試してみようと思う。

本の中身だが、ファンデーションをやめることで本来の自分を認めて、ありのままの自分を好きになるという精神面についても書かれている。アメリカに在住されているらしく、アメリカのかっこいい女性達を目にするうちにこってりと塗りこんだ肌に違和感を感じたらしい。そういえば、最近は変わってきたようだけれど、日本人は肌色ストッキングにヒールだが、西欧人は裸足にヒールのイメージ。(湿度の問題?)

それにしても、美容オタクが転じて化粧品まで作ってしまうとはすごいと思う。やっぱりとことん極める人はかっこいい。

2010年3月17日水曜日

人はダマシ・ダマサレで生きる

池田清彦著

本屋さんの文庫コーナーをぶらぶらしていたら、この本と目が合ってしまった。すると著者は生物学者とのこと、袖部分に写真があるかなんというか、ちょっといたずらっこのような素敵な表情である。きっと楽しい人だと思う。勝手な想像だけれど。
買うと決めたのは前書きの部分を読んで。

=引用=

トゲトゲという妙な名前の昆虫がいる。これによく似てとげがないものをトゲナシトゲトゲという。昔、本文にも出てくる小宮義璋先生とタイの山奥に虫採りに行ったことがある。夜中に寝入ったばかりの頃、「大変だ、池田君」と言って小宮さんに起こされた。ねぼけまなこの私に向かって小宮さんはうれしそうに言ったのだった。「このトゲナシトゲトゲ、とげがあるぞ」
トゲアリトゲナシトゲトゲの発見である。

=引用終=

心をくすぐられた。ふふふっという感じ。トゲトゲ。トゲナシトゲトゲ。こういうユーモアのセンスが好きだ。

上のトゲナシトゲトゲは人間が騙された(?)一例だが、昆虫や動物は別に騙している訳じゃなく、人間がこちらの価値観を自然界に押し付けて勝手に騙した騙されたと騒いでいるだけ。
世には現象があり、現象は常に変わる。一方で概念は不変でこの世には実在しない。人間は概念を実体化することで自らを騙す稀有な動物、とある。やっぱり生物が好きな人はちょっと人間嫌いの気があると思うのは私だけ?

概念を実体化して、それによって苦しめられる。そういえば先日読んだ「妬み」も概念だ。何を読んでもずっと自分が本来の形からずれてきたことばかりに考えがいく。そう全ての本が私にそう語りかけているよう。好きなことをするということ、概念ではなく現象を見ること、本質からずれないこと。

私はどうも虫や動物について書かれた部分ばかりに興味が向いてしまうが、世の中のダマシ、ダマサレについて環境問題、政治、政策、法律、教育等の視点から書かれている。実は「こんなに騙されている!」ということを書いた本や情報はあまり好きじゃない。騙されても幸せならいいんじゃないかと思う。

しかしながら、世に流れている情報や物を異なる視点から見るという意味で、時にはこういった本を読むべきだなと思った。何よりも驚いたのは地球温暖化について。実は地球が温暖化しているか、寒冷化しているか分からないと書いてある。太陽の黒点が薄くなった過去に地球は寒冷化したそうだ。丸山茂徳さんという地質学者は後5-10年で地球は寒冷化すると主張されているらしい。びっくりである。実際のところは地球がどちらに向かっているかわからないらしい。寒冷化を止めようと二酸化炭素を出してかろうじて守っているかもしれない、と。

本当に勉強になった。ふらふらと別の本屋に立ち寄った時、「38億年生物進化の旅」というタイトルに目が止まった。中をざっと読んでみて、著者名を見て、あれどこかで聞いたことがあるなと思ったら、この方の本だった。生物系の本があるあたりをチェックしていたので、ありえる偶然だが運命的なものを感じた。そもそもこの本屋にある生物系の本はほんの20冊くらいで、またこの本を読んだ直後だったので余計に驚いた。

絶対読んでやる。

2010年3月16日火曜日

中国てなもんや商社

谷崎光著

またまた会社の方に借りた本。一体私は彼から何冊本を借りたのだろうか?
「おもろいから送ろうか~?」と、そしてまた電車の中で読むなと指令が...。

新卒で中国貿易商社に入社した女性の奮闘ぶりが書かれている。ノンフィクションで、小林聡美さん主演で映画化もされたらしい。面白いだけではなく、中国貿易の実情や、中国という国の文化、また彼女を取り巻く上司や同僚の人柄が温かく描かれている。1999年に出版されているので、11年の間に中国事情も変わっていると思う。現在の中国貿易をよくご存知の方が読んでも比較ができて面白いかもしれない。

笑ったところを引用。中国から届いた商品を検品している場面。

=引用=

「あっ、このTシャツはまともだ!」
「ああ、それね。着てみると首が入りません。」

整理すればするほど出てくるのは信じられない商品の数々だ。穴が小さすぎて、まったくボタンのかからないシャツ。中国製の刺繍糸を使ったため、色落ちして白地に黒や赤の濃色がにじんでいるブラウス。胸にエンブレムの刺繍をしたジャンバーは、糸きりが全くされておらず、五色の蜘蛛の巣状態である。
そしてきつく編みすぎたらしいカチカチのセーター。パッケージもデザインも大人向けだが、広げると子供サイズである。

---中略---

「うちの乙仲さん(通関業者)がな、万貿易の輸入した傘持って、社内販売の黒いトレーナー着て、子供連れて遊園地に行ってん。そしたら雨が降ってきてな、傘を広げようとしたら不良品で開かへん。ずぶれになったらトレーナーが色落ちして、抱いてた子供が真っ黒になってん。次の日、お宅の会社、本当に大丈夫ですか?って聞かれたわ」

=引用終=

子供真っ黒って。 続編の「てなもんやOL転職記」も楽しみだ。

2010年3月15日月曜日

妬まずにはいられない症候群

加藤諦三

勝間さんの「断る力」に紹介されていて興味を持ったので読むことに。文庫本を開いた袖部分に「ある人を妬み、その人に対する感情だけで人生を終わるという、もったいない人生を送る人が多い。この本はある人を妬み、その人との感情的いきさつだけの狭い世界で生きないで、もっと大きな可能性を求める人生を送るためにはどうしたらよいか、ということを考えた本である。」とあるのだけれど、「どうしたらよいか」についてあまり書かれていないと思う。

では何が書かれているかというと妬みがどういう仕組みで生まれるか、主に「妬む人は~だ」という文章が繰り返される。なんだか著者自身の苦しみみたいなものが伝わって来てしまった。

これは確かにそうだと思ったのはこちら。

「前向きに自己実現することに関心のある人は、他人のあらを捜してもそれは自分の人生を意味あるものにするためには何の役にも立たないということを知っている。そこで、前向き生きる人は、他人の欠点を探し出すことにそれほど興味を示さない。しかし前向きになれない人の最大の楽しみは、他人の欠点を探し出すことである。」

こんな風に書かれると他人の欠点を探してしまったら極悪人みたいだけれど、誰でも誰かの欠点が目につくことはあると思う。そういう気持ちがふとした言葉から窺える時がある。結構自信があり、輝いているように見える人がそういう言葉をふと漏らすと、この人は本当は自信がない人なんだなぁ、と思う。私は改善はしたものの、自信があまりない。あんまりいいことじゃないけれど、他の人もそうなんだと少し安心したりする。

他にも色々と思うところがあって、ここでいう自己実現することに関心のある人 = 私が思う好きなことに集中している人 = 人生を本当に楽しんでいる人 というのは本当に数パーセントしかいないと思う。一般的に見れば成功している人でもよく観察してみると、当てはまる人はあまりいない。世の中に好きなことをしている人は本当に少ない。大半は誰かや何かに応えるためにがんばっている気がする。ただ、反応するために。そう、体に染み込んだ枠から抜け出すのは、とても難しい。

というわけで、これからは他人に応えることではなく、自分の好きなことを中心に生きていくことに決めた。だいたい、好きなことをやっていたらうだうだ妬んだり、後ろ向きになっている暇なんてない。若い頃はそうやって暮らしていたこともあるのに、年齢を重ねるうちに本当は重要ではないことを、最重要事項に設定して生ききたようだ。一番の要で大きな勘違いをしていたらしい。

2010年3月11日木曜日

むくみが消えるリンパマッサージ

廣田彰男 著

体が歪んでいたり、肩こりがひどいので、近頃真剣にその解消に取り組んでいる。実はマッサージについて書かれたページはそれほど多くないが、むくみの種類、原因、むくみが起こる仕組み、リンパの働きなどについてわかりやすく説明されている。
むくみはもともと人間が二足歩行を始めてしまったことに発端がある。重力の影響を受け、心臓のポンプ作用だけでは体中の血液や水分を引き上げにくくなってしまい、皮下組織に滞った余分な水分がむくみとなる。

そこで読んでいて心臓の働きがよく分からないので、インターネットで調べてみた。中学生用のサイトが見つかり、作成しているのは学校の先生だろうか、とてもわかりやすく、手作りとわかる心臓の図もほのぼのとしている。テストで心臓の絵が出て右心室で右心房か左心房か一向に覚えられなかったのに、今はばっちり分かる。
私はもしかして、本当に頭を全く使わずにテストでそれなりの点を修めて、それなりの大学に入学したのだろうか?

こんなに物事を理解せずに生きてきたなんて!!!随分損をしてきた...。

でも最近になって自覚ができてよかった。まだ人生は長い(かもしれない)のだ。実はまだ血管と細胞間のやり取りの部分がはっきりと分からないので、勉強中である。医者を目指せばよかったと最近つくづく思う。生物というか体というかその仕組みが本当に面白い。細胞や体ことを考えると全部私なのだけれど、全てが私のものではない気がする。例えば腸内には100兆個以上の腸内細菌が住んでいる。なんというかそういうちいちゃい子たちと一緒に住んでいる。ばらばらの私達が。私のものではないのが当たり前なんだ。

夢はどんなことがあっても諦めるべきではない。子供の頃の夢は獣医だった。ちょっとばかし人間嫌いだから、合っていたと思う。

2010年3月7日日曜日

ローマ人の物語 1 ローマは一日にして成らず(上)

塩野七生著

ラテン語をいつか勉強したいと思う。ライフワークみたいに。

何が好きかって、ヨーロッパの古い建物に刻まれているあのラテン文字の見かけがまず大好きで、カタカナで表記されていたってその見かけと音が好き。ユビキタスとか。英語の病名や動植物の学名も素敵なものが多い。

atrophoderma vermiculatumなんて日本語では「虫食い状皮膚萎縮症」らしいけど、アルファベットだけ見ているととてもセクシーである。"um"がたまらない。claustrofobiaなんて一目ぼれである。意味は閉所恐怖症だけど。xenofobia(外国人恐怖症)もいいね。本の中身とはあまり関係がないような気がするが、ついつい燃えてしまった。

ローマの歴史、この巻ではローマがどうやって興ったかから書かれている。そして当時のローマを理解するのに欠かせないギリシアについても。

歴史は教養としてある程度知っておくべきだと、高校生の頃から思って何度となく、歴史を読もうとしたがいつもつまらなくてやめてしまった。それが、この本、面白い。まぁ、好きな地域と好きな時代だからかな。この時代の戦いや鎧(戦闘服?)もおそらく好き。中世くらいまでの戦争と武器と鎧が結構好きである。

ローマを建国したロムルスは、映画「トロイ」を見た人なら、ご存知のようにトロイの陥落から逃げ延びた者の子孫とずっと信じられて来たらしいが、後に年月の計算が合わないことに気づき、別の伝説が生まれたようである。あの有名な狼が双子に乳を飲ませる姿の像はこの伝説の一場面を表している。

ローマが誕生し、王政から共和制までがここでは書かれている。王政といってもローマの王政はなんと民に選ばれた人が終身制でなったらしい、世襲制ではないとはちょっと普通に想像する王政とは違う。そして共和制は「ローマは一年ごとに選挙によって選ばれる人々によって治められ、個人よりも法が支配する国家になるのである」と描写される。

なるほどと思った部分をここに引用する。

「『ローマを強大にした要因は宗教についての彼らの考え方にあった』 ローマ人にとっての宗教は、指導原理ではなく支えにすぎなかったから、宗教を信ずることで人間性までが金縛りになることもなかったのである。」

ちなみに仏教でも人間性は金縛りにならない気がする。この辺からは要約する。ローマ人は狂信的でないために排他的でも閉鎖的でもなく、異教徒、異端の概念にも無縁、戦争はしたが、宗教戦争はしなかった。、ただ、宗教の代わりに何かしらの自浄システムを持つ必要があり、それが家庭であり、そして法律であった。宗教は共有する人同士でしか効力を発しないが、法律は共有しなくても有効である。人間の行動原理の正し手を宗教に求めたのがユダヤ人、哲学に求めたのがギリシア人、法律に求めたのがローマ人。うーん、素晴らしい一文。

さて、日本人にかかわらず、現代人は行動原理の正し手をどこに求めているのだろうか?日本にはそれがなくてみな迷い子のようになっている。自分の常識がもはや他人の常識ではないことを気がついていない。黙ったままで、相手に自分と同じ行動を期待するのにはもう無理がないだろうか?私達は実は「みんな同じ」じゃなかったことをそろそろ公けに認めてもいいような気がする。それとも、異なる文化圏の人との日常があるからこう思うのだろうか。

満員電車で無言でぶつかっていくのはやめた方がいいね。せめて「ごめんやしぃ、ごめんやし、ごめんやし」くらい言いながら突っ切って欲しい。