2012年11月19日月曜日

感染症との闘い

サイエンティフィック・アメリカン編

記録のため、タイトルと編者名のみ。

2012年11月7日水曜日

最強ウイルス

新型インフルエンザの恐怖
NHK「最強ウイルス」プロジェクト

全くウイルスはやめられない。図書館でついついウイルスの本があるかチェックしてしまう。返却だけで借りないつもりが手に取ってしまった「感染症との闘い」、「感染症ワールド」、そして「最強ウイルス」。二週間で全て読めないと思うが...。
2008年にNHKで放送されたドラマとドキュメンタリーの「最強ウイルス」を映像には含まれなかった内容も含めたのが本書。テレビ番組が土台としてあるため、非常に分かりやすい。

新型インフルエンザとはH5NI型、高病原性鳥インフルエンザのことである。近年では1997年に香港で死者が発生しているが、ここでは2006年インドネシアで死者7名を出した際のWHOによる封じ込めが緊迫感を持って書かれている。WHOが作成しているパンデミックのプロセスは6段階に分けられている。フェーズ1人に感染する恐れのあるインフルエンザウイルスが存在するが、ヒトへの感染リスクは少ない、フェーズ2 動物において流行しているインフルエンザウイルスが、ヒトへの発症に対してかなりのリスクを提起する。フェーズ3 新しいヒト感染が見られるが、ヒトからヒトへの感染は拡大していない。フェース4 ヒトからヒトへと感染する小さな集団が見られるが拡散は限定されている、フェーズ5 より大きな集団感染がみられるが、ヒトからヒトへの感染は限定的、フェーズ6 パンデミック期。ヒト社会で感染が増加しかつ持続する。
H5N1はフェーズ3からフェーズ4に引き上げられるかというところだったが、WHOの努力によりインドネシアでのそれ以上の拡大はなかった。2008年のデータだが、感染380人のうち280人が死亡している。死亡率は60%である。鳥インフルエンザは他のインフルエンザと異なり、多臓器不全(生命維持に必要な複数の臓器の機能に障害)を起こすゆえ、致死率が高い。

同時多発テロの記憶がまだ新しいアメリカがパンデミックにどのように備えているか、日本ではどのような準備があるか、またパンデミックが起こった場合にどの命から助けていくか、救うべき命に対する優先順位づけの話なども書かれている。

最後にパンデミックがどれだけ迫ってきているかについて、3人の専門家から意見を聞いている。個人的には北海道大学の嬉田教授の意見が面白いと思った。20世紀に3回起こったパンデミックはいずれもブタからヒトに伝播したウィルスによって起こっている。つまりH5N1がパンデミックを起こすとすれば、ブタ等の動物にヒトのインフルエンザウイルスが同時に感染し新型ウイルスが誕生した場合だと。そしてH5N1はそれに暴露している人の数に対して感染者の割合が少ないため、パンデミックを起こしにくいタイプのウィルスである。では380人はなぜ感染してしまったか?それはこの人たちが鳥インフルエンザに感染しやすい特殊な遺伝的背景を持っているからと述べられている。実際にヒトからヒトへ感染したように見えるケースでは兄弟姉妹に限られ夫婦間ではないそうだ。そこで疑問に思うのだが、なぜブタなんだろうか?鳥よりもブタというのは分かる。なぜならきっと鳥よりもブタの方が体の構造などが人間に近い。なぜ牛じゃないのだろう。そういえば、先日テレビで見たiPS細胞を利用した臓器作成でも使われていたブタだったような気がする。実験動物として牛より扱いやすいからか、構造が牛よりもブタの方が近いからか?ブタには胃袋、いくつあるんだろうか。

生命のことを考えると面白くてたまらない。とても複雑で一つ知る度に知らないことが何十倍にも増えて終わりがない。