2011年12月17日土曜日

ウイルスってなに?

今西 二郎著

もしかして、私ウイルスが好きなのではないかと思い始めてしばらくが経つ。しかしウイルスが一体どういうものなのか、よく分からないのでこの本を読んでみた。書籍の医学、免疫学コーナーあたりで、ウイルスについて書いた本を探してみたのだが、意外に数がない。

本著は7章に分かれていて、ウイルスとは一体何なのか知りたい人に向いている本。

1. ウイルスってなに?
2. ウイルスは何をする
3. ウイルスに対する生体の反応
4. ヒトに起こるウイルス感染症
5. 文明社会とウイルス感染症
6. ウイルス病の征服
7. 役に立つウイルス

このようにウイルスについての基本が専門的になり過ぎない程度に網羅されている。
冒頭でウイルスが何かというのを微生物全体を含めて、図で説明してある。これがとても分かりやすく、またこれまでの曖昧だった知識を整頓するのに役立つ。多くの方がご存知のように色々な考え方があるようだが、現在のところウイルスは生物ではなく生物と無生物との間に位置づけられている。(ちなみに菌は生物)そういうものはウイルスだけかと思っていたら、他にもあった。狂牛病などの際に話題になったプリオンともうひとつ、ウイロイド。プリオンはあぁ、プリオンも生物じゃなかったのかと思ったが、ウイロイドって一体何?主題から逸れるとのこと、詳しく触れられてはいないが植物に病気を引き起こすものだそう。

この本の中で、私に取って一番興味深いのが人獣共通伝染病の部分である。
人獣共通伝染病は本来は動物に感染している病気が人間にも伝染するもので、代表的なものに狂犬病やインフルエンザが挙げられる。エボラ出血熱も怖いけれど、Bウイルスというのがとても怖そうだ。Bウイルスとはサルに感染する病気で人間にかかると重症となり、脳炎や髄膜炎を起こし、致死率も高い。過去にはサルを取り扱う研究者によく発症しているらしい。なぜ人獣共通伝染病に興味があるのか分からないのだが、テレビや新聞でもそれに関する話題があると目を留めてしまう。幼い頃に観た狂犬病の犬が出てくるアメリカ映画が怖すぎたからだろうか?(ちなみに寄生虫も興味がある。エキノコックスなんて、とても怖いけど名前がすばらしい。「エキノコックス」って洋服でもブランドを作ったら日本人はよく分からないで買うんじゃないだろうか?誰かにぴったりくっついて生きようエキノコックス!)

他にも最近になって現れたエマージングウイルスなども、先の人獣共通感染症も主なものは一覧になっているので、大変分かりやすい。ウイルス入門のバイブルだ。
ウイルスが何か知りたい人にお薦めの一冊。