2011年12月28日水曜日

生命の未来を変えた男

山中伸弥・iPS細胞革命
NHKスペシャル取材班編著


次期ノーベル賞候補とも言われる京都大学の山中教授とその発明、iPS細胞についての本。NHKで取材されたものをまとめてあるようだ。本は山中教授がiPS細胞を発明するまでの経緯とiPSにまつわる問題や今後期待される医療への応用について書かれた第一部と、山中教授へのインタビューの第二部で構成されている。第一部で取り上げた内容が、第二部で会話の形で出てくることもあり、復習になって理解度が増す。

山中教授は若い頃にアメリカでの研究を経験しており、異例のスピードで国から補助金が出て創られた京都大学のiPS細胞研究所のCiRAでは、そのアメリカ研究所と同じオープンラボラトリーという形式を取られている。本著にはその写真も掲載されているが、これは日本の研究所では珍しい形らしい。通常は研究ごとに分かれた研究室は閉ざされているが、この形式だと一つの研究をしているものが、隣の別の研究が垣間見ることができる。そうすることが、互いの刺激になったり新しい発見が生まれることの手助けになるようだ。これは素晴らしいことだろうなと想像した。私の信条のひとつ、「異なるものが接触することによって、新しいものが生まれる」にしっくりきたからだ。

また、教授の研究で大切にしていることが研究を医療の場で応用すること。iPS細胞といえば、悪くなった細胞を取り替えるための細胞というようなイメージがあるが、それだけではなく、新しい医薬品開発にも使える。例えば、心臓病患者から病気の部分の細胞を分けてもらい、その部分をiPS細胞で育てて、開発途中の医薬品のテストをする。また、パーキンソン病などの難病においても患者の細胞を取り出し、病態を再現する研究が進められていて、既にいくつかの成果が出ているそうだ。

iPS細胞の研究が国家総出のプロジェクトであり、今後の医療で大変重要な役割を果たすことについてこの本で認識をした。CiRAの一階部分は多くの人にiPS細胞について知ってもらうため、一般公開されているそうなので行ってみようと思う。


2011年12月17日土曜日

ウイルスってなに?

今西 二郎著

もしかして、私ウイルスが好きなのではないかと思い始めてしばらくが経つ。しかしウイルスが一体どういうものなのか、よく分からないのでこの本を読んでみた。書籍の医学、免疫学コーナーあたりで、ウイルスについて書いた本を探してみたのだが、意外に数がない。

本著は7章に分かれていて、ウイルスとは一体何なのか知りたい人に向いている本。

1. ウイルスってなに?
2. ウイルスは何をする
3. ウイルスに対する生体の反応
4. ヒトに起こるウイルス感染症
5. 文明社会とウイルス感染症
6. ウイルス病の征服
7. 役に立つウイルス

このようにウイルスについての基本が専門的になり過ぎない程度に網羅されている。
冒頭でウイルスが何かというのを微生物全体を含めて、図で説明してある。これがとても分かりやすく、またこれまでの曖昧だった知識を整頓するのに役立つ。多くの方がご存知のように色々な考え方があるようだが、現在のところウイルスは生物ではなく生物と無生物との間に位置づけられている。(ちなみに菌は生物)そういうものはウイルスだけかと思っていたら、他にもあった。狂牛病などの際に話題になったプリオンともうひとつ、ウイロイド。プリオンはあぁ、プリオンも生物じゃなかったのかと思ったが、ウイロイドって一体何?主題から逸れるとのこと、詳しく触れられてはいないが植物に病気を引き起こすものだそう。

この本の中で、私に取って一番興味深いのが人獣共通伝染病の部分である。
人獣共通伝染病は本来は動物に感染している病気が人間にも伝染するもので、代表的なものに狂犬病やインフルエンザが挙げられる。エボラ出血熱も怖いけれど、Bウイルスというのがとても怖そうだ。Bウイルスとはサルに感染する病気で人間にかかると重症となり、脳炎や髄膜炎を起こし、致死率も高い。過去にはサルを取り扱う研究者によく発症しているらしい。なぜ人獣共通伝染病に興味があるのか分からないのだが、テレビや新聞でもそれに関する話題があると目を留めてしまう。幼い頃に観た狂犬病の犬が出てくるアメリカ映画が怖すぎたからだろうか?(ちなみに寄生虫も興味がある。エキノコックスなんて、とても怖いけど名前がすばらしい。「エキノコックス」って洋服でもブランドを作ったら日本人はよく分からないで買うんじゃないだろうか?誰かにぴったりくっついて生きようエキノコックス!)

他にも最近になって現れたエマージングウイルスなども、先の人獣共通感染症も主なものは一覧になっているので、大変分かりやすい。ウイルス入門のバイブルだ。
ウイルスが何か知りたい人にお薦めの一冊。





2011年10月8日土曜日

「ひとり会議」の教科書

山崎拓巳著

一日一度、自分との時間を持つことの重要さとそのやり方を書いた本である。
速く、忙しく過ぎていく毎日、「あれもやりたいな、これもやりたいな」と思っていても、目の前のことに謀殺されて、結局できないまま終わってしまう。私なんかよくあるのは、「やりたいな」と思っていたこと自体をすっかり忘れてしまっている。いい例が美術展である。あっ観に行きたいなと思っても、ほとんど実現しない。
著者が提案しているのはFranklin Plannerでいうところの、緊急じゃないが重要な時間を持つことと、その時間の使い方である。
イラストたっぶりの文字も少なめ、軽い感じの本なので息抜きに読めるが、実際の生活に取り組みたいこともなかなかある。いいなと思ったのが、「うれしかったことを3つあげる」、これは自分との会議中にうれしかったことを3つ書いてみるということだが、書いてみると意外と小さなことでも「うれしい」ことがあるんだと気がつき、精神衛生上よい。
自分らしさを書き換えるの項目で出てくる「すでにうまくいったふりをして生きる」とは、人間の脳はほんの数パーセントしか使われておらず、残りの部分を使うことができれば、夢なんかもかなってしまう、そのためには「自分はこうだ」という観念から離れてみる。そのために「すでにうまくいったふりをして生きる」。これは冗談みたいな気もするけれども、重要だと思う。ふりをするには上手く想像しなければいけない。想像ができるということは実現する可能性も高くなる。想像をし続けると想像をした方向に自分自身が向かうものである。

2011年7月30日土曜日

人生がときめく 片づけの魔法

近藤麻理恵著


会社の人から片付け魔である著者の話を聞いた。電車の広告を見てあぁこの人かと思い、試しに買ってみた。この本の手法通り片づけると、見事すべての服が備え付けのクローゼットに収まってしまった。いや、すごい。一度片づけたら、その後は戻らないリバウンドしないというのも、その通り。すばらしい実用書。元々片付けが上手な方はあまり効果が感じられないかもしれないが、片付いていても物が多すぎると感じている方にはおすすめである。先日、本屋の軒先でこれを眺めているご婦人につい話しかけてしまった。「本当にきれいになりますよ」と。

2011年7月24日日曜日

金持ち父さん貧乏父さん

アメリカのお金持ちが教えてくれるお金の哲学
ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター著

結構多くの方が読んでいるのではないかと思うこの本だが、発売された当初に読んだ。
その頃はあまりに経験がなく、読み終わったもののあんまり理解ができていなかったのではないかと思われる。内容はほとんど覚えておらず、不動産投資で成功した日系アメリカ人の書いた本という程度の印象しか残っていなかった。

先月あたりから始まった経済、投資、金融の本を一年間で100冊読む計画のため、再度読んでみようかと思案していたところ、ちょうど実家の本棚で見つけた。誰かから借りて読んだ気がしていたが、母から借りて読んだらしい。

高い教育を受けたがお金に苦労した実父と事業をいくつか経営している友人のお金持ちな父親からお金に関して相反する教育を受けながら著者は育つ。始めて教えを受けた9歳の時以降、著者はお金持ちな父親からお金に関する教えに従い続け、47歳でビジネスの一線から退けるだけの富と成功を手にいれる。お金持ちの父親から学んだことが教えの書として6つに分けられ、3つに分けられた実践の書へと続く。二度目の今回は全文を自分の中にしっかりと取り込むようにじっくり読み、内容も完全に理解できた。(持家が負債という定義があるが、企業の会計上は資産になるところをどう頭の中でつじつまを合わせるのか、個人の場合は負債?また他に会計上資産になるもので実は負債のものがあるのかもう少し詳しく知りたかった点を除いては曇りなく理解できたと思う。)ファイナンシャルIQを身につけ、自分の正確に合った方法でリスクを取って投資し、会社を作って節税する。今まで数冊本を読んできたが、たいてい実践すべき行動は同じだ。ただ、この本を読んでいるともっと色々なことを勉強したいと思ってくる。

例えば、節税の章に書かれているのだが、アメリカとイギリスには本来税金というものがなく戦争のために一時的に取り立てられるだけだったそうだ。イギリスでは1874年から、アメリカでは1913年から所得税が毎年取り立てられるようになった。そして、独立戦争のきっかけとなった「ボストン茶会事件」は紅茶にかけられていた税金が重すぎたことに端を発するとある。ボストン茶会事件ってなんだっけとWikipediaでしらべてみると、本題から逸れるがこの時紅茶の不買運動が起こったせいでアメリカ人にはコーヒー党が多いとある。日本がイギリスに占領されていたら、間違いなく紅茶が広まっていたということか。
日本は昔から農民がお米などの農作物を年貢として納めてきたと思うが、いつ頃始まったのだろうか?と税に関する疑問が膨らんできりがない。なぜかわからないが、私は税金とウィルスにはとても惹かれる。

また、金持ち父さんが子供だった著者に教えた「お金は実際には存在しない」ということ。これは2008年のリーマンショックの混乱をニュースで見聞きし、「貨幣の経済学」を少し読んだ私も始めて知って、そしてとても驚いた。とても不思議である。お金とは「これがお金だってみんなが同意して決めたもの」と説明されている。実際に存在しないお金が、なぜ価値を持って未だに存在し続けられるかについては「貨幣の経済学」を読むともう少し分かると思う。そして多分、数学も勉強し直した方がいいかもしれない。

ベストセラーとなったハウツー本のように思っていたが、この本はお金についての奥深く書かれた良書だと思う。ただ、これをさっと軽く読んだだけで、何も実行しない人はもちろんお金持ちにはなれない。

2011年7月23日土曜日

33歳で資産3億円をつくった私の方法

午堂登紀雄著

革命家100の言葉

山口智司著


全部で何人かは分からないがテーマ別に革命家、偉人の言葉を集めた本。
革命という言葉は私にとってとても魅力的だ。真っ赤な表紙に白文字のタイトル、チェ・ゲバラのポートレートもいい。決意に満ちた言葉、困難に挑む言葉、人をつかむ言葉、本質を見抜く言葉、明日を願う言葉と5章にまとめられている。

読み終わって、この本を自分なりに活用する方法を思いついた。(この本はすぐにブックオフに売られず、永久保存版になりそうだ。)

右側に言葉が、左側に誰がどういう時にその言葉を述べたかの説明がある。歴史上の人物や出来事について興味が湧くため、調べ出すきっかけとなる。また、この言葉を一週間に一度選び出して手帳に書き留める。先日フランクリンコヴィーの研修を受け、フランクリンプランナーを使い始めている。これに一週間コンパスというものがあるのだが、目標をメモする栞のようなもので裏面が自由にメモできるようになっている。これは栞なだけに毎日何度も目に留まる。ここに書き写すことにした。

それでは気に入った言葉をいくつか引用する。

「人の一生は、重き荷を負うて遠き道をゆくがごとし。いそぐべからず。不自由を常とおもへば、不足なし」徳川家康(武将)

「あらゆる世界史的事件は、よかれあしかれ、すべての人種の自己保存本能の表現である。」アドルフ・ヒトラー(元ドイツ国首相)

「運命の中に偶然はない。人間はある運命に出会う以前に、自分がそれをつくっているのだ」ウッドロー・ウィルソン(第28代アメリカ合衆国大統領)

「勝利に向かって限りない前進を。祖国か死か。かぎりない革命的情熱をこめて」チェ・ゲバラ(革命家)

私は6月14日生まれでチェ・ゲバラと同じ日に生まれたことを想うと体が熱くなるようにうれしい。

2011年7月16日土曜日

ワンランク上の問題解決の技術[実践編]

横田尚哉著


仕事で少し困ったことがあり、尊敬できる女性マネージャーに相談したところ「これいいですよ。読んでないんだけどあげます。」と言われたので、いただいた本。彼女はコンサル出身なので、こういう本を読むんだなぁと思った。

実はこういうの結構苦手と本を開いたのだが、意外にも始めからこれは使えるかもしれないと思った。公共事業の設計に長い間携わってきた建設コンサルタントの著者が、GEで生まれたファンクショナルアプローチという手法を紹介している。

このファンクショナルアプローチの始まりについても説明がある。ファンクショナルアプローチは第二次世界大戦のGEで生まれた。工場内の監査の際に、床に塗装したアスベストを交換する必要があると知らされた担当者は新しいアスベストを探していた。しかし、必要なだけのアスベストは見つからず困っていたところ、「何のためにアスベストが必要なのか?」と誰かがたずねた。そこで、探していたものは「アスベスト」ではなく「不燃材料」と気がついた。もの自体ではなくその機能に働きかけるのが、ファンクショナルアプローチである。

「もの」が何のために誰のためにどのような機能を果たしているかを軸に問題解決をしていく。

いくつかの段階に分けられた具体的な進め方の説明がある。この本をテキストにして実際に問題を解決できるか試してみるといいと思う。様々な問題解決の手法の中で共通している段階が5つある。問題の認識、改善点の特定、解決手段の洗濯、解決手段の適用、改善効果の評価。このうち特に重要なのが、問題点の認識と、改善点の特定である。
そして改善点の特定は確かに難しそうで、様々な手法が考案されてきたそうだ。

最後の方に朝起きてから夜寝るまで目に入るもの、耳に聞こえてくるもの、手に触れるものすべての機能について考えてみることで、これまでとは異なる視点を身に付けワンランク上の問題解決の考え方ができるとある。まずはできることから始めよう。

この本をいただくきっかけとなった困ったことは既に解決したので、次の問題が現れた際に意識してやってみることにした。

2011年7月11日月曜日

バフェットの教訓

逆風の時でもお金を増やす125の知恵
メアリー・バフェット&デビッド・クラーク著


世界で最も有名な投資家と言えばこの人ではないだろうか。投資や金融について何も知らない私ですら昔から名前だけは知っていた。バフェットの弟子にあたるデビッド・クラーク氏が書き留めたバフェットの叡智から書き起こした本である。
14章に分かれたテーマ別にウォーレンバフェットの言葉が書いてあり、説明がつけられている。

これらの会話の断片である言葉を読み進めていくうちに、バフェットの投資に対する基本的な姿勢が見えてくる。自分自身が何をしているか完全に理解できる少数のビジネスに投資する。市場のパニックに惑わされず落ち着いて企業の本来の価値と能力を見極めて安値で株を買い、じっくり育てるといった感じである。思うにとても複雑な要素で構成される投資というものを簡素化して、それを貫いているような印象を受けた。これを読み終えてはっと思ったのだが、彼がやっていることこそ本来の投資なのだ。

金融自由化によりネット証券会社が設立され、個人にとっても投資をすることが随分と身近になった。デイトレーダーなどゲーム感覚で投資(投機)をする人たちが現れた。本来投資とは会社の将来性にお金を出してその成長によるリターンを得るものだと思う。売買によるキャピタルゲインというものも、デイトレのように分単位で考えるものではなかったはずだ。ウォーレン・バフェットの言葉を読んでいると本来の投資とは何かということをじわじわと実感してくる。

なぜだかとても気になった言葉を引用する。

「愚か者でも経営できるビジネスに投資しなさい。なぜなら、いつか必ず愚かな経営者が現れるからだ。」

2011年7月10日日曜日

ピーター・リンチの株式投資の法則

ピーター・リンチ著

ピーター・リンチとは「全米NO.1に輝く伝説の名ファンド・マネージャー」らしい。著名な投資家に関する本はこれから1年かけて読みまくることした。
こちらは317ページもある結構な読み応えのある本で、途中で少し飽きてしまった。そんな訳で後半は速読の練習対象にしてしまった。

本の中身だが、株式の銘柄選び、投資信託について、ファンドマネージャーとしての最盛期を過ごしたマゼランファンド時代の回顧録、どのように銘柄を過去に選んでいたかの詳細にわたる。後半のおおよそ半分がこの銘柄選びの具体的な説明について割かれている。

私には少し早かった気がする。実際に株式投資を始めて業種別の株価の特徴や、社会的な出来事がどのように株価に影響を与えるかなどを経験してから読んだ方が頭に入ってくるのではないかと思う。

ピーター・リンチは投資対象とする企業を徹底的に調べて分析するため、実際に企業を訪問してインタビューをする。そうやって投資先を選ぶのかと関心した。ファンドマネージャーとは日本ではあまり馴染みのない職種で、村上ファンドがマスコミに登場しなければその存在を知らない人も多くいたのではないかと思う。

分からないなりにこの方の投資に関する熱意と職人を彷彿とさせる仕事に対する姿勢を非常に感じることができた。

2011年6月28日火曜日

金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った

阿部 芳裕 著


金融システム設計者の意図を探ればすべての謎が解けてくる!とコピーのある表紙を見てアマゾンで購入をしたのだが、中身はいわゆる陰謀説である。私はあまりこの手のネガティブな姿勢の本があまり好きではないのだが、ここにはれっきとした事実も含まれるのであろうから、あまり妄信的に信じ込まないように読み進めた。お金の歴史、お金の問題点、金融の歴史、ロスチャイルドの世界行動計画、ロスチャイルド関連の世界史、現状、未来と簡潔にまとめられ、また経済の歴史をざっと学ぶのにはとてもよかった。内容はロスチャイルドの世界行動計画(古い記録で実存したか不確かであり、自分たちさえよければ他には何をしてもいい姿勢が見られる)に基づき、世界の金融はほぼロスチャイルド系列の人々によってコントロールされているという筋書き。もし本書に書かれたことが本当だとしたら、なぜこのような計画を立てようと思ったのか、また現在の日本で暮らしていてそれに反対しようとする人々の一番の動機は何なのか?と考えてしまった。時に支配されたくないと思うのは支配したいの裏返しである。そして本書に書かれたことが本当ならつまるところ彼らは賢く、強いのである。著者も最後にこう記している。

=引用=
ロスチャイルド一族をはじめとする国債金融資本と、その同盟者であるエスタブリッシュメントたちは、明確な目標を共有し、それを実現するための具体的な計画を立て、決してあきらめずに何世代にもわたって彼らの理想とする社会を創ろうとしてきました。これは、ある意味、最高の成功哲学の実践例です。これを「陰謀」などという低いレベルのレッテルを貼って軽視する人間は、戦略的思考を持っていないのでしょう
=引用終=

物事の一面を切り取って、意図に沿うように切り張りすることの力を感じる。

2011年6月22日水曜日

勝間和代のお金の学校

勝間 和代 著


勝間さんの本だが最近よくある授業をイメージした装丁で4つの分野を4時間の授業となぞらえ、それぞれ異なる専門家へのインタビュー形式となっている。テーマは金融とリスク、投資信託、株式投資、社会的責任投資である。中でも興味深いのが竹中平蔵氏へのインタビューである金融とリスクでこの章のタイトルは「世の中の大きな動きの中で金融をとらえる」となっている。やはり、私は大きな世界から物事を見るのが好きらしい。果たしてそうじゃない人も世の中にいるのだろうか?ミクロ好き?

さて竹中氏の授業で何を学んだかと聞かれるといくつかあるのだが、新しい概念を学んだという意味で最も勉強になったのがリスク=危険ではないということ。ここでピーター・バーンスタインの「リスク」という本に触れられるが、「リスク」という言葉は宗教改革によってできたもので、神から自由になることによって発生したもの、つまり自由があるからリスクがあるということらしい。金融も非常に厳しく管理されてきたが、資産活用のために自由化されそれによってリスクが伴ってきたということらしい。本書にはこれだけしか書かれていないので、深くは理解ができないのが残念だが、詳しくは「リスク」を読んでみようと思う。

今日会社で偶然にもこの本の話が会社で出た。彼女は大学の授業でこの本を読まなければいけなかったそうで、金融や経済の分野では誰もが知っている本のようだ。

他には日本には「金儲けは汚い」という思想があり、お金に関する教育がなされていないことや、国民全体の金融リテラシー(リテラシー=特定分野について理解しそれを使いこなす能力)が低く、政治家ですら名目金利と実質金利を混同したまま議論を進めそれを正さない司会者といったことがあるなど、とても興味深い内容だった。

2011年6月19日日曜日

貯蓄のチカラ

午堂 登紀雄 著

著者は結婚が目の前に迫りお金を貯め始め、最終的にファイナンシャルプランナーになられた方。ご自身の経験によるものか、30代からのお金との付き合い方についてごく基本的なことが書かれている。お金が集まるルール、お金が貯まる仕組み、住宅についての考え方、保険、投資についてである。お金が貯まる仕組みで、すぐに実行に移せそうなものがレシートによる支出金額の把握。私は家計簿というものをつけて、続いた試しがない。この方法ではとにかく、レシートを取っておいて、溜まったら食事代、交通費、交際費等と項目別に集計し支出を把握する。とにかくレシートを溜めておけばいいので、忙しい時でも対応が可能。後は源泉徴収票を元に手取り収入を正確に把握する、など、確定申告時に毎回見ているものの、いざ手取り収入を考える時には利用したことがなかった。このタイプの本に多いが、文字間隔も広く読みやすいので普通に読んでも1時間あれば十分読める。

2011年6月18日土曜日

齋藤孝の速読塾

齋藤孝著


多くの本を読まなければいけない著者が実行し獲得した速読の方法。速読という単なる技術のみではなく、視野を広げて多くを知り、著者や登場人物へ視点を移動させることによって理解が深まるということが最も重要な点として書かれている。

技術面では目次からテーマを推測してポイントを意識しながら読み進める、2割を読んで理解する跳ばし読み、話の変化する点に注目する、キーワードを見つけながら読むなど。また読後の感想を必ず書くことも大切とある。

本を読んだ時の理解力は3段階に定義されている。Cレベルは読んだだけで内容が思い出せない。一つ上Bレベルでは要約ができる。Aレベルでは要約した上で新たな価値を加え自分のオリジナルなアイデアや意見を出せる。

うーん。私はまだCレベルだなぁ。部分的にAレベルなこともあるが。
日々の積み重ねでがんばろう。


最近仕事で英語を速く理解できる力が必要だとつくづく感じ始めた。
それでこの本にある方法で今すぐ実行しようと思うのが、英語の本の音読。著者は理解が早くなるまで1時間や2時間英語を音読し続けたらしい。1時間の音読というのは結構すごいことだと思う。確かに通訳の訓練でもシャドウイングを毎日30分していた頃は英語がチャンク(よく使う流れでの一塊)になって出てきたものだ。
音読は今日から実践することに決めた。

2011年6月1日水曜日

最強の株式道場

ザ・株鬼著


会社の年金に確定拠出金制度が組み入れられることになり、自分でその積立金を運用していく必要があるために株の勉強でも始めようかと購入。株鬼流の株式投資方法が書いてある。
企業の財務状況、成長性等を元に分析するファンダメンタル分析は参考程度としかしないらしくほとんど触れられていない、勝負へ挑むと取引のこころ構えと8つのチャート分析、損切り、株価上昇率の予測などが正に道場風に語られていく。

株価とは生き物なんだなぁと改めて思った。

自分でも株を買ってみようかなぁと思いながら、一度読み終わった後も何度か読んでいる。

2011年5月23日月曜日

億の富の作り方

久保雅文著

久しぶりにとても驚いた。本当に世の中のことを知らないなとつくづく思うが、またそれが喜びでもある。つまり新しく学んだ際にいつもこれを認識するからだ。
この方も30代で億の資産を築いた方だが、本の内容は個人の経験ではなく、国というレベルで見たお金。国家にだまされるなといった姿勢で書かれている。

日本の負債はGDPの2倍と言われている。定期購読しているNewsweekに国別の債務残高をグラフにしたものがあり、日本はその中で他を大きく引き離してトップ、だがアイルランドやギリシャのような破綻に陥るリスクは少ないとあった。なぜか?債務残高の8割(?)が国内調達であるのが理由。これは世界的に見ても珍しい。米国などは4割だったか6割だったかが国外調達だった。まず、この小さな驚きが最近あった。そしてこの本を読むと、問題となっている国の借金は実はとっくの昔に消費税率を上げて税収となるべきものだったということがわかる。借金ではなくてれっきとした税収で、正常な収支が保てるはずだった。では、なぜそうならなかったか?
消費税を上げるという度に国民からの指示を失って選挙で票が集められない、国民のご機嫌を取るためにすべきこと先のばしにしてきた。でも国はお金がないと困る、ではどうしたか?少ない税金で豊かになった個人資産をひたすら貯蓄するように勧め、それを国が使ってきたというわけである。

これには本当に驚いた。無知であることは呑気なことである。ぼけーっと消費税は上がってほしくないなと考えるのである。日本の将来が心配になってきた。このままのペースで借金をつづければ、その額は個人資産を越える。つまり借り入れができなくなり、国債がデフォルトとなる。その際に唯一国が取り得る方策が現在法律で禁止されている日銀が国債を購入するというものだ。そうなると国の信頼は落ち、円の価値が大幅に下がるデノミネーションへと向かうかもしれない。

経済というものが本当に不思議でたまらない。世界経済を見ているとこのアングロサクソン支配がいつまで、続くのかそして赤字国が力を持ち続ける構造がどれだけつづくのか、その力にはやはり軍事力が関係してくるのかと謎だらけである。

2011年5月19日木曜日

サラリーマンの僕が35歳で資産3億円つくった方法

鳥居里至著

IT株への50万円投資から初めて35歳で資産3億円までになった著者が書いたお金のルールと増やし方。
お金の出口を減らして、入口を増やすという基本方針の元にお金の価値や、普通の人が知らないまたは意識していないお金の動きや習性のようなものを説明している。

今年の前半は「戦争」がテーマだったが、しばらくお金をテーマに本を読み漁ることにした。
まぁ、会社員生活に疲れてなんとか抜けられないかと思い始めて、ついついこの本を手に取ったことからテーマが「お金」になったのだが。

なかなか、ここまでできる人はいないんじゃないかと思うけれども、お金のルールについて学ぶのにはいい本だった。現在の自分の収入の壁を越えるには何かを変えなくてはならない、何を?と思った時に実はお金持ちや成功者の本を読むだけではなくて、彼らの習慣を真似したらいいのではないかと。これまでは自己啓発本を読むと啓発本ハイみたいになって、まぁ、リポビタンDを飲んだような効果があっただけ。もちろん一時的にやる気も上がり、前向きな気持ちを作り出すので悪くはないが、定着しない。「気持ちを変える」よりも「習慣を変える」方が手っ取り早い。今までなぜ気がつかなかったのか?

軽く1時間もあれば読めてしまう、こじゃれた装丁の本なのだが、私は多くのことを学べたと思う。
例えば、お金の価値。お金には二つの価値があり、お金持ちはお金を手にした時に「交換価値」ではなく「時間価値」を考える。「時間価値」とは100万円を金利7%で運用すれば10年後に200万円になるかもしれないなどと考えること、「交換価値」はこの100万でスーツ10着買える!などと考えること。

ほとんど「交換価値」しか考えたことがない。また、72の法則で説明される複利効果など、無知もいいところだと自覚した。と言う訳でしばらくお金の本が続く予定だ。

2011年2月28日月曜日

図解雑学 脳のしくみ

岩田誠監修


脳の基本について書かれた本で易しくわかりやすい。私の読んだものは随分と古いものだが、本屋で見たら新しいものも売っていた。脳の構造と各部の名前、脳の細胞と情報伝達のしくみ、大脳皮質の働き、記憶と本能、知らないうちに働く脳、五感と脳の6章からなる。脳の各部位と、神経細胞、シナプスがどのようにつながっているかと詳しく知りたかったのだが、この本で満たされた。いろいろな脳関連の本を読む前にこれを読んでおくと、理解度が異なると思う。基本中の基本が書かれた本。ちょうど「変身」にでてきた左半側空間無視(脳の右半球に損傷を受けると左側を無視してしまう状態)についても説明があったので、面白かった。

2011年2月22日火曜日

変身

東野圭吾著


新幹線に乗る際に何か軽く読めるものが欲しくなり購入した。真面目な男性がある事件に巻き込まれ世界初の脳の移植手術を受けてから、自分が自分じゃないように変化していく話。悲しい。

2011年2月20日日曜日

老化を抑える抗酸化力

吉川敏一著

2011年1月22日土曜日

あの戦争はなんだったのか

保阪正康著


「昭和史」を読んだ直後なので、学んだことを頭に入れるためにもよかった。戦前から戦争に至るまでをかかれた点では同じ、内容についてはこちらの方が要点をまとめた感じだが、当時の軍隊の組織について詳しく説明があり、組織図も載っているため興味深い。また、太平洋戦争では陸軍が悪者になっているようだが、海軍には「いつか欧米と戦う運命にある」という宿命論のようなものがあったことと書かれている点が「昭和史」と異なる。
2つの本に共通していえるのは、一貫して天皇への敬意が感じられること。


組織図を見て気がついたが、当時日本に空軍はなかった。日本どころかドイツくらいにしかなかったらしい。しかし、私の祖父の弟はパイロットでこれは何かといえば、海軍に属していた。ほとんどの国において、空からの攻撃というのはどちらかというと、一戦略でしかなかった。これは当時の技術で製造される飛行機の航続距離(燃料を最大限積載して飛行が可能な最長距離)がまだ短かったことと関係がある。第二次世界対戦で戦争の主力が海から空へシフトする。


戦争についてもっと知りたい。

2011年1月16日日曜日

昭和史 1926-1945

半藤一利著


その時々に夢中になるものがあって、ちょうど2010年末から2011年初に夢中になっていたのが「戦争」だった。借りるDVDも戦争映画ばかり、読む本は太平洋戦争に絞って読んでいた。そのうちの一つがこの本で、シリーズで戦前と戦後と2冊の本が出版されている。


昭和史の前半にあたる本書では、日本が太平洋戦争に至る背景から書かれており複雑に絡まった歴史の要素が簡潔に500ページあまりに記されているが、語りかけるような文体と著者のユーモアにより大変読みやすく、ぐいぐいと読めてしまう。


日本史を勉強したのは中学までで、例えば2・26事件は軍人が政治家を殺したくらいの記憶しかなく、またそれが一体歴史上でどんな意味を持ったかなどということはもちろん学校で学んでいない。この事件は恐怖として当時の国民、政治家、天皇にも心に焼き付けられ、そしてそれが陸軍の台頭に結びついていったことをこの本で初めて学んだ。もちろん一般教養としてそんなことぐらい誰でも知っているのかもしれないが、私はこの本で久しぶりに興味の源を刺激され、さらに歴史というものを知りたくなった。元々歴史は苦手で、知る必要性は感じながらも手が出なかった。学ぶというのはとても楽しい。知らないことが多くあり、無知な自分に感謝である。
なぜって、知る喜びがまだまだたくさん残っているから。





2011年1月9日日曜日

球形の荒野

松本清張著