2012年2月5日日曜日

秘密の動物誌

ジョアン・フォンクベルタ、ペレ・フォルミゲーラ著


図書館の動物関連の本が置いてある場所で、見つけた。開いて数ページ目には、実在したらしき少し古い時代の研究者の顔写真がある。そしてページをめくり続けると、奇妙な動物たちの姿が。例えば、ガラパゴス諸島に住むトレスケロニア・アティス。長いくちばしを持った鳥が亀の甲羅を背負っている。

仕事でスコットランドに短期滞在した、写真家の二人が借りた家の地下室から、大量の写真と不思議な生き物の標本を見つける...という風にこの本は始まる。不思議な生き物を発見した研究者のその成果を図鑑のようにして紹介している。

しかしながら、その動物たちの姿は一目見て合成したものだと分かる。読み進めるとどうやら、これは一つの芸術作品らしい。つまり、スコットランドに滞在というところから全てフィクション、創造されたものであった。

その種明かしが最後の「解説」にある。これは彼らの写真を使った現実の認識に対する一つの実験だった。
人間が月面着陸したことを、その写真を見て信じている。しかしUFOの写真は信じない。
一体本当に人間は月にいったのか?そして彼らは「絶対的な真実など存在せず、たださまざまな程度で真実に近似して見える幻想があるばかり」ということを発見をした。
この変な生き物の写真がある、さあどうだ?もっともらしい学術的な動物の生態に関する説明もある、さあどうだ?そして、このおかしな新種の動物を発見した研究者の経歴と歴史についても記載がある。ますます本当らしい。さあどうだ?

実在する動物の本かと思って、少し変とは思いながらも借りてしまった。私も創られた真実に上手いこと騙された。