2012年2月5日日曜日

日本の動物法

青木 志著


動物に関して知りたくて、借りたはいいが法律に関して何も知識がないので、読むのに少しばかり苦労する。しかしながら、情報が体系だって整理されているので、集中して読むことができればとても分かりやすい本だと思う。(以下、学びきれておらず、これから書く内容には誤りもあると思う)

これまで、イギリスは生物に関する先進国というイメージがあったが、この本を読んでその理由が分かった。狩猟鳥獣などを保護する法令は中世からあるが、動物を不必要な苦痛から保護するという動物自身の利益が保護される法律がイギリスで始めて1822年に成立している。これに比べると日本は動物に関する法律という点で、全くの発展途上国で、ここ十数年の間に急激に発展しているため、新興国のようなイメージだ。
(ちなみにイギリスの法律、憲法(どっちだっけ?)は成文化されておらず、独特の制度だと知った。)日本の法律には「人」か「物」しかなく、「動物」というカテゴリーは存在しない。一方イギリスの法律には動物という主体が存在する。

そして、イギリスの動物愛護団体がなぜあれほど活動できるか、その説明を読んで納得した。一つ目が、イギリスの法上では刑事訴追に対する権限を一般人(?)が持てる私人訴追が認められている。日本ではその権利は検察官が独占している。これはどういうことかというと、例えば、日本において動物愛護団体が動物愛護法を違反している個人を見つけたとする。しかしながら、動物愛護団体はその罪を裁判の場に持ち込むことができない。それをできるのは検察官だけである。イギリスでは動物愛護団体が、罪を裁判に持ち込むことができる。

二つ目がその圧倒的な財政力の違いである。イギリスを代表する王立動物虐待防止協会は、「王立」とついているものの、国営ではない。その主な財源は寄付金。2007年の収入を見てみると約150億円。そのうち2億円以上の金額を訴追に費やしている。では日本の代表的な愛護団体の収入を見てみると、日本動物愛護協会2007年度の収入は8000万円ほど。全く規模が異なるわけである。