2010年2月12日金曜日

日本人の源流 - 幻のルーツをたどる

小田静夫著

日本人がどこからやって来たかについて様々な角度から書かれた本。
しばらくお休みしていたDNAがここで自然に私の目の前に現れた。
「チョットワタシタチノコトワスレテナイデスカ?」とくるくるした子達に責められている気がした。あの数と長さのDNAに襲われたら大変だ。逃げられない。でも私のDNAなら、私を襲うために体内から出る時点で壊れているということだからありえないね。

全ての人種のルーツはアフリカの黒人にあることは知っていたが、そこからどんな経路を辿って日本まで来たのかははっきりと知らなかった。この本によれば、黒人は中近東で西と東に別れ、西へ向かったヒトがヨーロッパ人に、東へ向かったヒトは多くの地域へと広がっていた。東に向かった集団の一つがモンゴロイド、そのモンゴロイドがヒマラヤ山脈にぶつかり、南北へ進路を分かつ。南へ向かった古モンゴロイドは東南アジア、日本、オセアニア等へ、北へ向かった新モンゴロイドは北、中央、東アジアへ。
この南に向かった古モンゴロイドがどうも縄文人の祖先らしい。そして、しばらくの時を経て、北へ向かった新モンゴロイドが弥生人として朝鮮半島から日本へ渡って来る。つまりとても大雑把に言ってしまえば、日本人はヒマラヤ山脈で一度二手に分かれたモンゴロイドが、再び出会った人種のようだ。

そして弥生人の勢力は強く、昔からいた縄文人に近い人々は南北に追いやられ、現代日本人の血の7割は新モンゴロイドらしい。ちなみに南北に追いやられた(?)縄文人は沖縄やアイヌの人々の中に特徴として残っているらしい。確かに沖縄やアイヌの人の顔つきには地域的な特徴、そして目鼻立ちがはっきりしているところに共通点がある。

頭の長さ、食べ物、当時の風習、埋葬方法、言語とあらゆる点から日本人の源について書かれたこの本は素直に面白い。

実はこの本は数年前に亡くなった姉の本棚から見つけた。生前、「私とあなたは同じ作家の本でも異なる作品を好むね」と言っていたが、生物なんかに関してはまんざらそうでもないらしい。そういえば、脳についての本も二冊発見。当時、脳ブームでもなんでもなかったことを思うと、なぜ興味を持ったものか、ちょっと不思議な気もする。

今頃、彼女も天国でDNAだか大腸菌だかの本を読んでいるかもしれない。