2010年2月7日日曜日

小泉純一郎の軍師飯島勲

大下英治著

飯島氏が小泉さんの代議士秘書になった頃から、内閣総理大臣秘書官となり、小泉内閣の終了までについて、書かれている。いまどき珍しいかもしれないけれど、私は逆境を乗り越えて成功する人の話が好きだ。何もかも与えられてきれいにクールに要領よく生きている人には正直あまり魅力を感じない。お腹の裏側にある強い力みたいなものが感じられないから。いざという時になにくそっと大きな牙をむき出して、食いちぎるような力を持つ人は恐れとあふれ出るようなパワーを感じさせる。
平和に満ち溢れ、戦う必要がほとんどない今、強いということ程、魅力的な要素はない。強ければ安心して守ることも、守られることもできる。
飯島さんはきっとそういうパワーを放っている方ではないかなと想像する。(私の家にはここ数年テレビがないため、飯島さんが話したり、動いたりしている姿を見たことがない。)

ところで私は会社員で、アシスタントをしている。飯島さんの小泉さんに対する忠誠心のような気持ちが少し理解できる。そこまで強いものではないかもしれないけれど、似たような気持ちを上司に持っていると思う。これはとても不思議な感覚である。おそらく相性がよくなければ、こういう風には感じない。何よりもサポートする側は人間として相手を尊敬しているがゆえに成り立ち、そしてサポートされる側はその誠意にきちんと応える。

誠意にきちんと応えるのには何段階かあり、まずは誠意をつくしていることに気がつく、そしてそれを言語で表現し感謝の気持ちを伝える、報酬を与える等がある。私は何名かの上司についたことがあるが、全員誠意をつくしていることには気がついている、しかし表現をするのが圧倒的に下手、もしくは全くしないのどちらかである。日本人はおおよそ二段階目が飛んで、感謝を言葉では表さないけれど、ご飯をごちそうしてくれたり何か買ってきてくれたりという風になる。ただ、それもさすがだなと思ったのは以前勤めていた会社の社長、私に不満があることを知ってお昼に誘ってくれ、こちらが断ると(今考えると断るなよ!)女性が好きそうなおしゃれなクッキーを買ってきてくれたのである。正直私は甘いものがそれほど好きではないので、クッキー自体はたいしてうれしくもなかったのだが(もちろん喜びを表明した)、なんとも絶妙のタイミングとセンスの良さにとても驚いた!やがて6年も前の出来事だが忘れられない。この方は本当にすごい方で、なるほどと思った。2段階目をすっとばしても効果大である。すごい人というのはおそらくそれほど意図しなくても物事のバランスやタイミングやリズムが絶妙なのだ。そう心地の良いリズムを持っている。

この本は小泉内閣時代に世間で話題になったことやその裏側について多くが書かれているので、小泉さんと飯島さんのお人柄についてはあまり触れられていない。それでも二人の絆がとても固いというのはわかるが、もう少しそこを掘り下げて知ってみたいと思ってしまった。つまり忠誠心とは何か?何がそこまで固い絆を作らせるのか?

母親が言っていた、人気のある首相の時は秘書も存在感があるね。そうじゃない時は誰が秘書かさえも知らないものね。
有能な人だから有能な秘書を選ぶのか?それとも有能な人は部下を上手く開発させる能力を持っているのか?やはり相性なのか???