2013年4月13日土曜日

アメリカは日本経済の復活を知っている

浜田 宏一著

著者はイェール大学名誉教授であり、2002年より内閣府経済社会総合研究所所長、前日銀総裁白川氏は著者の教え子とのこと。白川総裁下の日銀が経済学上関連性のない人口減少をデフレの原因としており、1998年に施行された新日銀法により独立性を得た日銀が金融政策の手段のみならず、目的を設定する権限を得、責任は取らない状態になってしまったことを批判している本。日本経済の再生に消費税増税の前にまずは大胆な金融緩和によりデフレを脱却すべきだというの考えで、現在の日銀の方針とぴったり一致。本著の発行が今年の1月なので、一般大衆から現日銀の金融政策の支持を得るために書かれたのかと思う。著者の知り合いとして世界でも著名な経済学者が幾人も登場するが、タイトルに書かれたことから期待する、アメリカが日本経済についてどう考えているかについてはほとんど書かれていないため、タイトルに裏切られた印象はある。
個人的には批判は好まないため、特に前白川総裁について書かれた部分は良い印象を受けない。また、一部で言われている日銀が国債を貨幣の流通残高以下に抑える銀行券ルールを停止することにより、日銀が国の負債を制限なしに引き受けると受け止められることによって、信頼が失われハイパーインフレに陥るという意見や、国のプライマリーバランスを黒字化することに関してどのような考えがあるのかも知りたかった。

日本のメディアが日銀から情報をもらうという体制になっているため、結局のところ、日銀に好まれるような報道しかできない、また日本のメディアの経済に関する知識が乏しく、問題をきちんと理解できていないなど書かれていることは興味深い。

過去の金融政策と景気について知りたい場合は、現在読んでいる「株式投資 低成長時代のニューノーマル」の方が淡々と事実を述べており、客観的に判断する材料を与えてくれるようなので、そちらの方がいいかもしれない。