ハイラム・W・スミス著
記録のためタイトル著者名のみ。
2012年9月14日金曜日
2012年8月25日土曜日
2012年6月23日土曜日
2012年5月20日日曜日
眠れない一族
食人の痕跡と殺人タンパクの謎
ダニエル T マックス著
題名にある「眠れない一族」というのは、致死性家族性不眠症(FFI)というプリオン病を代々患うイタリアのある家族を指しているが、内容はこの病気以外も含めたプリオン病およびプリオンについてである。
FFIという病気はある日突然眠ることができなくなって、精神状態に異常をきたし、最後に死に至る治療法のない病気だ。そこで不思議なのが、FFIの遺伝子を持っているものは必ず死に至るのに、この家族が少なくとも分かっている範囲で16世紀(17世紀?)からずっと続いているということだ。遺伝は100パーセントの割合で現れる訳ではないのもその一つの理由だが、発症するのが出産や子育てを一段落おえた50代などと遅いこと、またFFIの家系は世界的にみても非常に少なく、病気の原因が長い間特定されず遺伝病と認識されていなかったことにもよると思う。
著者自身も別の種類のプリオン病を患っていて、プリオンについて徹底的に調べた内容は非常に良いと思う。狂牛病についても全容を理解するに必要な情報が詳しく書かれていてよかった。問題点は文章がおかしいこと。非常に読みづらい。始めは翻訳の問題なのかと思ったのだが、おそらく原文でも読みにくいと思う。例えばタイトルは「眠れない一族」で、FFIを患うイタリアの家族の家系図も始めについている。小説仕立てで、FFI病とこの家族に関する話なのかと思いきや、それはほぼ一章くらいで終わる。構成に問題があるような気がする。また文章の流れを見ても、少し途切れて突然ターンするような部分があるのだ。もしかすると著者が体調のよくない時に書いた文章だろうか?そのため、内容はとても良いにもかかわらず非常に読みづらく、読み終わるまでに多く時間がかかった。
ダニエル T マックス著
題名にある「眠れない一族」というのは、致死性家族性不眠症(FFI)というプリオン病を代々患うイタリアのある家族を指しているが、内容はこの病気以外も含めたプリオン病およびプリオンについてである。
FFIという病気はある日突然眠ることができなくなって、精神状態に異常をきたし、最後に死に至る治療法のない病気だ。そこで不思議なのが、FFIの遺伝子を持っているものは必ず死に至るのに、この家族が少なくとも分かっている範囲で16世紀(17世紀?)からずっと続いているということだ。遺伝は100パーセントの割合で現れる訳ではないのもその一つの理由だが、発症するのが出産や子育てを一段落おえた50代などと遅いこと、またFFIの家系は世界的にみても非常に少なく、病気の原因が長い間特定されず遺伝病と認識されていなかったことにもよると思う。
著者自身も別の種類のプリオン病を患っていて、プリオンについて徹底的に調べた内容は非常に良いと思う。狂牛病についても全容を理解するに必要な情報が詳しく書かれていてよかった。問題点は文章がおかしいこと。非常に読みづらい。始めは翻訳の問題なのかと思ったのだが、おそらく原文でも読みにくいと思う。例えばタイトルは「眠れない一族」で、FFIを患うイタリアの家族の家系図も始めについている。小説仕立てで、FFI病とこの家族に関する話なのかと思いきや、それはほぼ一章くらいで終わる。構成に問題があるような気がする。また文章の流れを見ても、少し途切れて突然ターンするような部分があるのだ。もしかすると著者が体調のよくない時に書いた文章だろうか?そのため、内容はとても良いにもかかわらず非常に読みづらく、読み終わるまでに多く時間がかかった。
2012年5月7日月曜日
腸からはじめる幸せ健康法
新谷弘実著
食べ物にアレルギーがある会社の同僚から借りた本。著者の新谷氏はアメリカで活躍する胃腸内視鏡分野の医者である。雑誌のような薄めの本で、中には新谷氏だけではなく他の複数の医者が腸内環境、特に乳酸菌と健康の関係を述べている。新谷氏はアメリカで診察にあたっていたのだが、肉食を中心とするアメリカ人の食生活は胃腸に悪いことに気がついた。そのために汚れたり荒れてしまっている胃腸の写真も掲載されている。確かこの本で読んだと思うが、成人病大国となってしまったアメリカは状況を改善するために、国をあげて野菜を多く取るよう奨励し、現在のアメリカ人の野菜摂取量は日本人のそれを上回っているそうだ。また、日本では農作できる土地が限られていて、長期間にわたる農薬や科学肥料の使用により収穫される野菜自体の栄養価が下がっている。同じほうれん草でもアメリカで育ったほうれん草の方が栄養が豊富ということだ。一般的なアメリカ人の肥満ぶりを見ると、野菜の摂取量については信じられないが、野菜の栄養価については本当かもしれない。もともと肉食の歴史が長い白人は脂肪を溜めやすい体にできているため、もしかすると現在の日本人も表面に現れていないだけで十分不健康なのかもしれない。
本書で薦められている食生活についてはマクロビやその他菜食を中心とする健康法と似通っている。動物および鶏の肉食を既にやめていたので、提案されている生活方針には納得。
ここで新に学んだのは副交感神経と、交感神経のバランスについてだ。白血球に含まれるリンパ球の割合が多くなると副交感神経がよく働きリラックスした状態になる。顆粒球が増えると交感神経がよく働き活動的になる。そして人間はこのバランスを上手くとっていないと病気になる。ストレスいっぱいの生活もだめだが、リラックスし過ぎても病気になるということだ。
食べ物にアレルギーがある会社の同僚から借りた本。著者の新谷氏はアメリカで活躍する胃腸内視鏡分野の医者である。雑誌のような薄めの本で、中には新谷氏だけではなく他の複数の医者が腸内環境、特に乳酸菌と健康の関係を述べている。新谷氏はアメリカで診察にあたっていたのだが、肉食を中心とするアメリカ人の食生活は胃腸に悪いことに気がついた。そのために汚れたり荒れてしまっている胃腸の写真も掲載されている。確かこの本で読んだと思うが、成人病大国となってしまったアメリカは状況を改善するために、国をあげて野菜を多く取るよう奨励し、現在のアメリカ人の野菜摂取量は日本人のそれを上回っているそうだ。また、日本では農作できる土地が限られていて、長期間にわたる農薬や科学肥料の使用により収穫される野菜自体の栄養価が下がっている。同じほうれん草でもアメリカで育ったほうれん草の方が栄養が豊富ということだ。一般的なアメリカ人の肥満ぶりを見ると、野菜の摂取量については信じられないが、野菜の栄養価については本当かもしれない。もともと肉食の歴史が長い白人は脂肪を溜めやすい体にできているため、もしかすると現在の日本人も表面に現れていないだけで十分不健康なのかもしれない。
本書で薦められている食生活についてはマクロビやその他菜食を中心とする健康法と似通っている。動物および鶏の肉食を既にやめていたので、提案されている生活方針には納得。
ここで新に学んだのは副交感神経と、交感神経のバランスについてだ。白血球に含まれるリンパ球の割合が多くなると副交感神経がよく働きリラックスした状態になる。顆粒球が増えると交感神経がよく働き活動的になる。そして人間はこのバランスを上手くとっていないと病気になる。ストレスいっぱいの生活もだめだが、リラックスし過ぎても病気になるということだ。
2012年4月27日金曜日
たんぱく質入門
武村 政春著
たんぱく質とはどういうものか教えてくれるその名の通り入門本。色々な本を読んで病気や食べ物について考えている中で、生物の基本であるたんぱく質について理解したいと思い手にとった。たんぱく質が20種類のアミノ酸で成り立っていることは知っていたが、実際どのようにアミノ酸から成り立っているか、DNAがたんぱく質を作るための情報を持っていることは知っているが、具体的にどのようにたんぱく質を作り出しているかなど、私の中に様々な疑問があった。この本を読むことでそれは解消できた。しかしながら、これを書いている今(6月23日)は読み終わって2月くらい経っているのだが、内容を結構忘れている。生物系の本を結構読んできたので、それなりに積み重なってそろそr忘れないくらいしっかり理解できた事柄もあるが、なかなか難しい。これは忘れないでおこうと頭の中で何回か繰り返して覚えたのが、たんぱく質の構造。20種類のアミノ酸はほぼ同じ構造をしていて側鎖という部分だけが異なり、その違いをつくっている。アミノ酸同士がペプチド接合でつながったポリペプチドが一次構造、それらがくっつき板状や螺旋状になる二次構造、二次構造を折り畳んでできる三次構造でたんぱく質となる。そして三次構造が集まってともに働くたんぱく質複合体(四次構造)というのもある。とても複雑だ。そしてとても美しいと思う。命の構造を知れば知るほど、その美しさに魅了されてしまう。
たんぱく質とはどういうものか教えてくれるその名の通り入門本。色々な本を読んで病気や食べ物について考えている中で、生物の基本であるたんぱく質について理解したいと思い手にとった。たんぱく質が20種類のアミノ酸で成り立っていることは知っていたが、実際どのようにアミノ酸から成り立っているか、DNAがたんぱく質を作るための情報を持っていることは知っているが、具体的にどのようにたんぱく質を作り出しているかなど、私の中に様々な疑問があった。この本を読むことでそれは解消できた。しかしながら、これを書いている今(6月23日)は読み終わって2月くらい経っているのだが、内容を結構忘れている。生物系の本を結構読んできたので、それなりに積み重なってそろそr忘れないくらいしっかり理解できた事柄もあるが、なかなか難しい。これは忘れないでおこうと頭の中で何回か繰り返して覚えたのが、たんぱく質の構造。20種類のアミノ酸はほぼ同じ構造をしていて側鎖という部分だけが異なり、その違いをつくっている。アミノ酸同士がペプチド接合でつながったポリペプチドが一次構造、それらがくっつき板状や螺旋状になる二次構造、二次構造を折り畳んでできる三次構造でたんぱく質となる。そして三次構造が集まってともに働くたんぱく質複合体(四次構造)というのもある。とても複雑だ。そしてとても美しいと思う。命の構造を知れば知るほど、その美しさに魅了されてしまう。
2012年4月26日木曜日
キリング・フィールドへの旅
カンボジアノートII
波田野 直樹著
1975年から1979年の間にカンボジアではクメールルージュによる国民の大虐殺が行われた。本著は虐殺行為の残虐さに焦点を当ててはいるのではなく、当時のカンボジアを取り巻く環境や時代背景を確認しながら、なぜ彼らがそのような方向に向かったかという一つの疑問を、虐殺の場への訪問と集めた資料を通して解こうとしている。
先日NHKオンデマンドで、国連の国際裁判所によるクメールルージュ幹部と処刑施設トゥールスレンの所長に対する裁判のドキュメンタリーを見た。そのせいか図書館の本棚にあるこの本に目が止まってしまった。私みたいな文章の下手な人間が言うのもなんだが、この本の文章は、色気なく歴史上の事実を並べたノンフィクションとは異なり、小説のように書かれていて、読みやすい上に文章が美しい。どう表現していいかわからないのだが、すばらしい。
始めの方に使用される用語の定義が述べられる。その中で始めてはっきりとその定義を認識したのがジェノサイドだ。ジェノサイド(民族、宗教、国民などの集団に対する大虐殺)はユダヤ人学者が第二次世界大戦中のホロコースト以降に創り出した言葉だそうだ。現在は人類に対する罪として認識されている。
そして私が長く疑問に思っていた点に触れる。戦争を根絶できないように虐殺もまた根絶できない。人間というのは不思議な存在で、相反する要素を未整理のまま内包した存在である。戦争や殺人がなぜ起こるのか不思議である。もしそれがその存在にとって悪いことであれば、自然と殺人や戦争が起こらないように思える。しかしながら、人類の歴史ではいつもどこかで戦争や殺人が起きている。一つの規範の中では穏やかに暮らす人間も、一旦別の規範に入れられてしまえば、残虐なことを平気で行えるようになる。
S21と呼ばれていたトゥールスレンやその他の処刑場所の訪問、政治的な背景、クメールルージュ幹部達と同時期にパリに留学していたカンボジア人との会話、現在のカンボジア人がどう受け止めているかなどを通して、著者が経験したものを共有することができる。
さて、なぜ彼らが一説には170万人といわれている数の自国民を虐殺したのか、その理由について明確な結論は述べられていない。読者自身がその答えを出すよう求めているかのようだ。
波田野 直樹著
1975年から1979年の間にカンボジアではクメールルージュによる国民の大虐殺が行われた。本著は虐殺行為の残虐さに焦点を当ててはいるのではなく、当時のカンボジアを取り巻く環境や時代背景を確認しながら、なぜ彼らがそのような方向に向かったかという一つの疑問を、虐殺の場への訪問と集めた資料を通して解こうとしている。
先日NHKオンデマンドで、国連の国際裁判所によるクメールルージュ幹部と処刑施設トゥールスレンの所長に対する裁判のドキュメンタリーを見た。そのせいか図書館の本棚にあるこの本に目が止まってしまった。私みたいな文章の下手な人間が言うのもなんだが、この本の文章は、色気なく歴史上の事実を並べたノンフィクションとは異なり、小説のように書かれていて、読みやすい上に文章が美しい。どう表現していいかわからないのだが、すばらしい。
始めの方に使用される用語の定義が述べられる。その中で始めてはっきりとその定義を認識したのがジェノサイドだ。ジェノサイド(民族、宗教、国民などの集団に対する大虐殺)はユダヤ人学者が第二次世界大戦中のホロコースト以降に創り出した言葉だそうだ。現在は人類に対する罪として認識されている。
そして私が長く疑問に思っていた点に触れる。戦争を根絶できないように虐殺もまた根絶できない。人間というのは不思議な存在で、相反する要素を未整理のまま内包した存在である。戦争や殺人がなぜ起こるのか不思議である。もしそれがその存在にとって悪いことであれば、自然と殺人や戦争が起こらないように思える。しかしながら、人類の歴史ではいつもどこかで戦争や殺人が起きている。一つの規範の中では穏やかに暮らす人間も、一旦別の規範に入れられてしまえば、残虐なことを平気で行えるようになる。
S21と呼ばれていたトゥールスレンやその他の処刑場所の訪問、政治的な背景、クメールルージュ幹部達と同時期にパリに留学していたカンボジア人との会話、現在のカンボジア人がどう受け止めているかなどを通して、著者が経験したものを共有することができる。
さて、なぜ彼らが一説には170万人といわれている数の自国民を虐殺したのか、その理由について明確な結論は述べられていない。読者自身がその答えを出すよう求めているかのようだ。
2012年4月22日日曜日
いま伝えたい細菌戦のはなし
隠された歴史を照らす
森 正孝著
第二次世界戦争時に、日本軍が中国の一般人が住む村や民家に細菌を散布して、多くの人々が亡くなったという出来事を、その体験者やこれに参加した元日本軍兵士の証言、日本軍による記録を元に書かれた本。著者は元731部隊について研究をされていたそうだが、人体実験以外に細菌散布を実践していたことを知らず、中国に訪れ731部隊の跡地を訪れた際に出会った中国人によりそのことを知ったそうだ。731部隊は京大医学部卒、陸軍軍医の石井四郎がヨーロッパを視察した際に各国が細菌研究に力を入れているが、日本は遅れているとして軍関係者に細菌戦研究の専門施設をつくるよう訴えたのが始まりとのこと。その頃、世界では細菌戦について既に研究がなされており、使用された場合の結果が悲惨になると認識されていたため、既にジュネーブ条約で毒ガスとともにその使用が禁止されていた。捕虜の取り扱いについてもそうだが、第二次世界大戦時、日本はジュネーブ条約を随分無視しているように思う。中国ハルビンを研究拠点として、日本軍はコレラ、ペスト、パラチフスといった病原菌を捕虜を使って研究し、菌を感染させた蚤を撒いたり、菌を井戸に投げ込んだり、菌を含んだ餅を配ったりして軍人ではない一般の人々も多く死なせたとある。本書の後半では実際にそれらの悲劇を経験した被害者と加害者両方が写真と実名を公表して話を載せている。一つ疑問に思うのが、日本軍はなぜ一般市民に向けてこれを実施したのかということ。それが後々細菌戦として兵士向けに使用するための実験であったのか、細菌戦が中国との戦争や太平洋戦争における日本軍の戦略でどのような位置を占めていたか、などについては書かれていない。戦争は本当にひどいことが多く起きる。平和に暮せることに感謝する。
森 正孝著
第二次世界戦争時に、日本軍が中国の一般人が住む村や民家に細菌を散布して、多くの人々が亡くなったという出来事を、その体験者やこれに参加した元日本軍兵士の証言、日本軍による記録を元に書かれた本。著者は元731部隊について研究をされていたそうだが、人体実験以外に細菌散布を実践していたことを知らず、中国に訪れ731部隊の跡地を訪れた際に出会った中国人によりそのことを知ったそうだ。731部隊は京大医学部卒、陸軍軍医の石井四郎がヨーロッパを視察した際に各国が細菌研究に力を入れているが、日本は遅れているとして軍関係者に細菌戦研究の専門施設をつくるよう訴えたのが始まりとのこと。その頃、世界では細菌戦について既に研究がなされており、使用された場合の結果が悲惨になると認識されていたため、既にジュネーブ条約で毒ガスとともにその使用が禁止されていた。捕虜の取り扱いについてもそうだが、第二次世界大戦時、日本はジュネーブ条約を随分無視しているように思う。中国ハルビンを研究拠点として、日本軍はコレラ、ペスト、パラチフスといった病原菌を捕虜を使って研究し、菌を感染させた蚤を撒いたり、菌を井戸に投げ込んだり、菌を含んだ餅を配ったりして軍人ではない一般の人々も多く死なせたとある。本書の後半では実際にそれらの悲劇を経験した被害者と加害者両方が写真と実名を公表して話を載せている。一つ疑問に思うのが、日本軍はなぜ一般市民に向けてこれを実施したのかということ。それが後々細菌戦として兵士向けに使用するための実験であったのか、細菌戦が中国との戦争や太平洋戦争における日本軍の戦略でどのような位置を占めていたか、などについては書かれていない。戦争は本当にひどいことが多く起きる。平和に暮せることに感謝する。
2012年4月18日水曜日
食べ物はこうして血となり肉となる
中西貴之著
まず最初に食べたものがどのように栄養となるかについて説明がある。口から入った食べ物は食道を通り胃で消化され、腸で吸収され、血の流れに乗って体中に分布され、代謝され、不要となったもが排泄される。
その後は海の物、山の物、動物性食品といった分類別に具体的な食品名があげられ、その食品に特徴的な栄養成分ごとの説明がなされている。例えば、アン肝の説明では、アン肝にはビタミンDが多く、骨をつくる骨芽細胞に作用して新たな骨をつくることに作用しているなどとある程度詳しく書かれているが、文章が平易なので読みやすい。普段食べているものにどういう利点や欠点があるのか知りたい時に、楽な気持ちで読めるのでお薦め。
まず最初に食べたものがどのように栄養となるかについて説明がある。口から入った食べ物は食道を通り胃で消化され、腸で吸収され、血の流れに乗って体中に分布され、代謝され、不要となったもが排泄される。
その後は海の物、山の物、動物性食品といった分類別に具体的な食品名があげられ、その食品に特徴的な栄養成分ごとの説明がなされている。例えば、アン肝の説明では、アン肝にはビタミンDが多く、骨をつくる骨芽細胞に作用して新たな骨をつくることに作用しているなどとある程度詳しく書かれているが、文章が平易なので読みやすい。普段食べているものにどういう利点や欠点があるのか知りたい時に、楽な気持ちで読めるのでお薦め。
2012年4月15日日曜日
新版 ぼくが肉を食べないわけ
ピーター・コックス著
ベジタリアンの間ではどうも有名らしいこの本。どうして肉を食べるべきでないかについて、多方面から述べられている。1999年に新版として出版されているのが、これはまさに英国が狂牛病で肉の食べることの恐怖につつまれていた時期と重なる。ちなみに前後に約1年間英国に住んでいた私は今でも献血ができない。牛の狂牛病は人間に感染した後、クロイツフェルトヤコブ病として発病するまで20-30年かかることもある病気である。(人に一旦感染した狂牛病ウィルスが人へ感染した場合の発病までの期間は短い。)ではなぜ、牛にそのような病気が発生するのか、その原因について本著に書かれている。英国食肉産業では、肉の切れ端やくず肉などを集めてボイルし、脂肪とたんぱく質に分ける。脂肪はマーガリンや石けんなどに利用され、たんぱく質は家畜の餌になる。そう、草食動物で本来、動物を食べるようにできていない牛などに動物のたんぱく質が与えられていたことにより、狂牛病が流行したのだ。肉は危険なので食べるべきではないという一つの根拠だ。また食肉がどのように生産されるか、動物たちがいかにその権利を無視された環境で飼育されているか、など動物がかわいそうなので肉を食べるべきではないという説明、またがんなど、様々な病気が肉食をしている人に発生する可能性が高いので、健康のために食べるべきではないなどという説明がされている。
この本が書かれてから10年以上が経っており、また肉食の歴史が長い英国の話でもあり、病気に関する肉食の方が悪いというデータの全てを信じていいわけでもないが、一度自分が食べているものがどのように生産されるのかを知るために、多くの人に読んでもらいたいと思う。それを知った上で、積極的に肉を食べたい人は食べてもいいと思う。
この本を手に取ったきっかけは実は最近観た映画にある。「いのちの食べ方」というオーストリアのドキュメンタリーで、食品生産現場が台詞や説明なしに淡々と映されている。そこに牛がおでこに機械をあてられて殺される(気絶させられる?)場面が出てくる。この光景がなんともかわいそうで、牛肉を食べづらくなってしまった。不思議なことにその後、お腹が裂かれて血がたくさん出る場面では既に食用肉と認識しているらしく、かわいそうに思わない。あの嫌がる牛がばたんと首をうなだれる姿が頭から離れない。実際、撮影を依頼する段階で動物を殺す場面だけは見せられないと断った業者が多かったらしい。以前にマクロビオティックを始めた際には続かなかったが、色々考えた末に肉食を控えるべきかと思いこの本を借りた。現在は人付き合いなど、優先すべき時だけ肉を食べるようにしている。
ベジタリアンの間ではどうも有名らしいこの本。どうして肉を食べるべきでないかについて、多方面から述べられている。1999年に新版として出版されているのが、これはまさに英国が狂牛病で肉の食べることの恐怖につつまれていた時期と重なる。ちなみに前後に約1年間英国に住んでいた私は今でも献血ができない。牛の狂牛病は人間に感染した後、クロイツフェルトヤコブ病として発病するまで20-30年かかることもある病気である。(人に一旦感染した狂牛病ウィルスが人へ感染した場合の発病までの期間は短い。)ではなぜ、牛にそのような病気が発生するのか、その原因について本著に書かれている。英国食肉産業では、肉の切れ端やくず肉などを集めてボイルし、脂肪とたんぱく質に分ける。脂肪はマーガリンや石けんなどに利用され、たんぱく質は家畜の餌になる。そう、草食動物で本来、動物を食べるようにできていない牛などに動物のたんぱく質が与えられていたことにより、狂牛病が流行したのだ。肉は危険なので食べるべきではないという一つの根拠だ。また食肉がどのように生産されるか、動物たちがいかにその権利を無視された環境で飼育されているか、など動物がかわいそうなので肉を食べるべきではないという説明、またがんなど、様々な病気が肉食をしている人に発生する可能性が高いので、健康のために食べるべきではないなどという説明がされている。
この本が書かれてから10年以上が経っており、また肉食の歴史が長い英国の話でもあり、病気に関する肉食の方が悪いというデータの全てを信じていいわけでもないが、一度自分が食べているものがどのように生産されるのかを知るために、多くの人に読んでもらいたいと思う。それを知った上で、積極的に肉を食べたい人は食べてもいいと思う。
この本を手に取ったきっかけは実は最近観た映画にある。「いのちの食べ方」というオーストリアのドキュメンタリーで、食品生産現場が台詞や説明なしに淡々と映されている。そこに牛がおでこに機械をあてられて殺される(気絶させられる?)場面が出てくる。この光景がなんともかわいそうで、牛肉を食べづらくなってしまった。不思議なことにその後、お腹が裂かれて血がたくさん出る場面では既に食用肉と認識しているらしく、かわいそうに思わない。あの嫌がる牛がばたんと首をうなだれる姿が頭から離れない。実際、撮影を依頼する段階で動物を殺す場面だけは見せられないと断った業者が多かったらしい。以前にマクロビオティックを始めた際には続かなかったが、色々考えた末に肉食を控えるべきかと思いこの本を借りた。現在は人付き合いなど、優先すべき時だけ肉を食べるようにしている。
2012年3月21日水曜日
2012年3月20日火曜日
銃・病原菌・鉄 上
ジャレド・ダイアモンド著
人類の歴史をアメリカ、ヨーロッパを中心に書かれたいわゆる世界史ではなく、東アジア、太平洋を中心に書かれた本。どこかでみた書評に、ダーウィンの進化論と同じ方法で人類の歴史を書いたものとされている。
なぜ、ある地域では農耕が始まり、他の地域では始まらなかったか、なぜ、ある地域では多くの動物が家畜化されたか、新大陸に進出したヨーロッパ人と、滅びた原住民の違いは何か、など一つ一つの条件を検証しながら、論を立てていく。
やはり、私にとって一番面白いのは病原菌の部分。(ちなみにウイルスに触れているので、病原体であるべきじゃないのかなどと考え悶々としている。原題ではGerms) ヨーロッパ人が新大陸の原住民を滅ぼした原因は単に強い武器を持っていただけではなく、原住民がそれまで遭遇したことのない新しい病原体をもたらしたことにもあると書かれている。ではなぜ、逆が起こらなかったかといえば、南北アメリカでは、病原体の繁栄する環境、狭い範囲で動物を飼育するという動物の家畜化がなく、(南北アメリカには家畜に適した動物種が少ない) また、農耕を主に暮らす、自身の糞尿にさらされる機会も少なかったからとされる。つまり、これらに適応してきたヨーロッパ人はにはある抗体が原住民にはなかった。
最初の部分、地理が出て来るので苦手な私は、時々放棄し読み終わるまでに一年以上かかった。下巻を読み終わるのはいつのことやら。
人類の歴史をアメリカ、ヨーロッパを中心に書かれたいわゆる世界史ではなく、東アジア、太平洋を中心に書かれた本。どこかでみた書評に、ダーウィンの進化論と同じ方法で人類の歴史を書いたものとされている。
なぜ、ある地域では農耕が始まり、他の地域では始まらなかったか、なぜ、ある地域では多くの動物が家畜化されたか、新大陸に進出したヨーロッパ人と、滅びた原住民の違いは何か、など一つ一つの条件を検証しながら、論を立てていく。
やはり、私にとって一番面白いのは病原菌の部分。(ちなみにウイルスに触れているので、病原体であるべきじゃないのかなどと考え悶々としている。原題ではGerms) ヨーロッパ人が新大陸の原住民を滅ぼした原因は単に強い武器を持っていただけではなく、原住民がそれまで遭遇したことのない新しい病原体をもたらしたことにもあると書かれている。ではなぜ、逆が起こらなかったかといえば、南北アメリカでは、病原体の繁栄する環境、狭い範囲で動物を飼育するという動物の家畜化がなく、(南北アメリカには家畜に適した動物種が少ない) また、農耕を主に暮らす、自身の糞尿にさらされる機会も少なかったからとされる。つまり、これらに適応してきたヨーロッパ人はにはある抗体が原住民にはなかった。
最初の部分、地理が出て来るので苦手な私は、時々放棄し読み終わるまでに一年以上かかった。下巻を読み終わるのはいつのことやら。
2012年3月17日土曜日
動物園にできること
「種の方舟」のゆくえ
川端 裕人著
アメリカの動物園による生物種や環境保護に対する取り組みについて、著者本人が動物園を訪問し、各関係者に直接取材をしてまとめた本。1999年に出版されているので、現在とは少し状況が違うかもしれないが、アメリカという動物園先進国の状況がよく分かるような内容になっている。
現在の上野動物園のライオンやゴリラの飼育設備がこれに該当するが、実際の棲息環境に似せた飼育環境を作るイマージョンと呼ばれる展示方法はアメリカで1980年代からブームになった。確かに見る方にとっても、狭いコンクリートの檻に入れられているよりは、森林や草原を模した飼育設備の中に動物なんやってがいる方がいい。しかし動物にとってそれは、本当にいいことなのか?著者の問いは続く。
本来の行動が限られる飼育下では、動物が同じ場所の往復を繰り返す、食べ物を食べては吐くを繰り返すなどの異常行動が見られるが、これらをなくすための、エンリッチメントという取り組みがある。例えば熊は自然下では、一日中のほぼ大半を餌探しに費やす。日に数回決められた時間に、餌がもらえる動物園では退屈過ぎるのか、良くないらしい。熊を幸せにするために、ある動物園では日に何度も工夫に凝らして、餌をあちこちに隠したり、ばらまいたりする。1981年から始められた飼育下にある動物の遺伝子の多様性を守りながら、種の保存に取り組むSSP(Species Survival Plan)、そしてそこから発する余剰個体の問題、絶滅危惧種の野性復帰など、動物園が関わる役割や問題は計り知れないように思えた。
最後に日本の動物園の遅れが指摘されている。日本の動物園は自治体に運営されていることが多いため、お役所仕事のようになってしまうことが、一つの原因らしい。
さて、この本が書かれて13年が立った今、現状は変わっているのだろうか。
川端 裕人著
アメリカの動物園による生物種や環境保護に対する取り組みについて、著者本人が動物園を訪問し、各関係者に直接取材をしてまとめた本。1999年に出版されているので、現在とは少し状況が違うかもしれないが、アメリカという動物園先進国の状況がよく分かるような内容になっている。
現在の上野動物園のライオンやゴリラの飼育設備がこれに該当するが、実際の棲息環境に似せた飼育環境を作るイマージョンと呼ばれる展示方法はアメリカで1980年代からブームになった。確かに見る方にとっても、狭いコンクリートの檻に入れられているよりは、森林や草原を模した飼育設備の中に動物なんやってがいる方がいい。しかし動物にとってそれは、本当にいいことなのか?著者の問いは続く。
本来の行動が限られる飼育下では、動物が同じ場所の往復を繰り返す、食べ物を食べては吐くを繰り返すなどの異常行動が見られるが、これらをなくすための、エンリッチメントという取り組みがある。例えば熊は自然下では、一日中のほぼ大半を餌探しに費やす。日に数回決められた時間に、餌がもらえる動物園では退屈過ぎるのか、良くないらしい。熊を幸せにするために、ある動物園では日に何度も工夫に凝らして、餌をあちこちに隠したり、ばらまいたりする。1981年から始められた飼育下にある動物の遺伝子の多様性を守りながら、種の保存に取り組むSSP(Species Survival Plan)、そしてそこから発する余剰個体の問題、絶滅危惧種の野性復帰など、動物園が関わる役割や問題は計り知れないように思えた。
最後に日本の動物園の遅れが指摘されている。日本の動物園は自治体に運営されていることが多いため、お役所仕事のようになってしまうことが、一つの原因らしい。
さて、この本が書かれて13年が立った今、現状は変わっているのだろうか。
2012年3月12日月曜日
ピーター・リンチの株の教科書
儲けるために学ぶべきこと
ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド著
速読の飛ばし読みで読んでみた。資本主義の歴史から始まり、具体的な投資の種類、そして会社の一生について書かれている。投資の種類は投資信託、国債、不動産、株式と一通り基本の説明がある。面白く思ったのは、そもそも株式投資の前提になる会社の始まりから触れている資本主義の歴史と、会社の一生。元々ヨーロッパ人が、新大陸での新しいチャンスを目指す人々に資金を提供したのが、投資の始まり。1602年にはオランダの投資家が、オランダ東インド会社の株式を買っていた記録がある。その後さらなる開拓ビジネスの需要に応え、アメリカ中に銀行が次々と設立される。証券取引所もでき、発明品、鉄道、工場での大量生産とアメリカ経済は勢いを増していく。そして1929年の株の大暴落。こうして、歴史の中で考えると、つくづく投資の本来の姿が浮かび上がる。会社の一生では、会社を設立から衰退までのいくつかの段階に分けて、どういうことが、会社の一生に起こりえるか、そしてそれらの出来事がどのように投資に影響するかが説明されている。
ピーターさんは投資というものが、本当に好きなんだと思う。読んでいると、なんだか彼の「好き」が滲み出てくる。
ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド著
速読の飛ばし読みで読んでみた。資本主義の歴史から始まり、具体的な投資の種類、そして会社の一生について書かれている。投資の種類は投資信託、国債、不動産、株式と一通り基本の説明がある。面白く思ったのは、そもそも株式投資の前提になる会社の始まりから触れている資本主義の歴史と、会社の一生。元々ヨーロッパ人が、新大陸での新しいチャンスを目指す人々に資金を提供したのが、投資の始まり。1602年にはオランダの投資家が、オランダ東インド会社の株式を買っていた記録がある。その後さらなる開拓ビジネスの需要に応え、アメリカ中に銀行が次々と設立される。証券取引所もでき、発明品、鉄道、工場での大量生産とアメリカ経済は勢いを増していく。そして1929年の株の大暴落。こうして、歴史の中で考えると、つくづく投資の本来の姿が浮かび上がる。会社の一生では、会社を設立から衰退までのいくつかの段階に分けて、どういうことが、会社の一生に起こりえるか、そしてそれらの出来事がどのように投資に影響するかが説明されている。
ピーターさんは投資というものが、本当に好きなんだと思う。読んでいると、なんだか彼の「好き」が滲み出てくる。
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